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想いは箱の中に2
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中学の時の亮は、ずっと高瀬の妄想の中で生きてきた。
自身の生活の中で、思わず声の出るような美しい景色に出会えた時、彼が隣にいてくれたらいいのにと感じた。
好きな音楽に出会えた時、すぐさま彼と共有したいと思った。
亮の眼下に大都会の眺望が広がる。
(こんなに遠くまで来たのに、まだこんな酸っぱい想いを感じるなんて…)
亮は、この都会の空が若き思い出の詰まった中学の校舎まで繋がっているような錯覚すら覚えた。
「牧野さんお待たせ!」
(…!)
「…おう」
目の前にすらりとした少年が立っている。
(…スバル…相変わらず決まってるよな…)
はにかんだ美しい少年は、担当の新人モデルのスバルだった。
「…明日何時だ?…オーディションだろ?」
「…うん」
アメリカと日本のハーフで、モデル歴も浅い。ポージングもまだぎこちない新人だが、見た目の存在感は他より群を抜いている。
スバルと同じエレベーターに乗り込む。
そして、亮はスバルの違和感に気づいた。
(…こいつ……)
窓を眺めるスバルの様子から察するに、前回落ちたオーディションを引きずっているのだろう。今日のプロフィール撮りの撮影もわりとナーバスになっていた。
エレベーターが各階に停まり、人が出入りする。
スバルは直帰の為、駅方面の2階で降りる。亮とはその階で別れる予定だ。
降下するエレベーター内は満員にもかかわらず、とても静かだった。亮はスバルの腰にそっと手をやる。
「大丈夫」
「絶対に上手くいく!」
亮は思ったままの言葉を呟いた。
エレベーターが2階に止まり、扉が開く。
どっと乗客が出口に流れだす。
「…知ってるよ…」
スバルは笑って答えた。
美人が一層際立つ。
自身の生活の中で、思わず声の出るような美しい景色に出会えた時、彼が隣にいてくれたらいいのにと感じた。
好きな音楽に出会えた時、すぐさま彼と共有したいと思った。
亮の眼下に大都会の眺望が広がる。
(こんなに遠くまで来たのに、まだこんな酸っぱい想いを感じるなんて…)
亮は、この都会の空が若き思い出の詰まった中学の校舎まで繋がっているような錯覚すら覚えた。
「牧野さんお待たせ!」
(…!)
「…おう」
目の前にすらりとした少年が立っている。
(…スバル…相変わらず決まってるよな…)
はにかんだ美しい少年は、担当の新人モデルのスバルだった。
「…明日何時だ?…オーディションだろ?」
「…うん」
アメリカと日本のハーフで、モデル歴も浅い。ポージングもまだぎこちない新人だが、見た目の存在感は他より群を抜いている。
スバルと同じエレベーターに乗り込む。
そして、亮はスバルの違和感に気づいた。
(…こいつ……)
窓を眺めるスバルの様子から察するに、前回落ちたオーディションを引きずっているのだろう。今日のプロフィール撮りの撮影もわりとナーバスになっていた。
エレベーターが各階に停まり、人が出入りする。
スバルは直帰の為、駅方面の2階で降りる。亮とはその階で別れる予定だ。
降下するエレベーター内は満員にもかかわらず、とても静かだった。亮はスバルの腰にそっと手をやる。
「大丈夫」
「絶対に上手くいく!」
亮は思ったままの言葉を呟いた。
エレベーターが2階に止まり、扉が開く。
どっと乗客が出口に流れだす。
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美人が一層際立つ。
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