[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

王子と唐揚げとボク３

「こないだ高瀬くんのグループ野外ロック行く話してたよ！」

「えー!いいなあ！」

 隣で話すゴシップ好きの女子達の会話がなぜか甘酸っぱく聞こえる。


 （いいなあ…）


「よう！」

 クラスメイトの和田が声を掛けに来た。

「牧野だったらそのフェス、格好の儲け話かもよ！」

「…そうだわ！」

 亮を前から、拝金主義とイジってくる和田は比較的明るいキャラだ。
 クラス替え当初から亮と仲のいい友達だ。

「おれだったら３０円で仕入れたきゅうり冷やして２００円で売るね」

「ぼったくり！さすがだわ牧野wぶれてねえわw」

 いつからか和田との会話で盛り上がるのは亮の拝金主義ネタ（貧乏エピソード）だった。
 そして亮も積極的に話にのっかかり自分のキャラを確立させていった。

 亮の父親は有名人である。
 周囲の人間に平凡な自分と別れて暮らす父を比べられては、影で同情されるのにはもううんざりだった。

 実際母子家庭であるし体格も小さい亮にとって、自信の経験を振りきって貧乏キャラを演じる事は割りと自然だった。
 しかも有名なマンガの主人公と同じ名字ということもあり、なんとなくこのキャラは定着していった。
 バカらしい事と分かっていながら、これがイジメのターゲットにならない為の一種の防衛線と思ったのだ。
この術こそクラスでの蘇生術だと悟っていたのかもしれない。