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42 光る君 ちい姫の入内
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盛大な裳着を終えたちい姫だが、入内にあたり紫の上から提案があった。
彼女は入内するちい姫の後見として、明石の君に内裏で御一緒頂いては?
と、言ってくれたんだ。
なんと言ってもちい姫はまだ13歳、、
実母の方がこの先細かい配慮も行き届くのでは、と、姫を気遣ってのことだった。
まったく、この女人はなんと素晴らしいことか。
美しさは元より、よくもここまで心映えの優れた女人に育ってくれたものだ、と思わず膝を打ち、(よく言った!)と心の中で叫んだ。
ちい姫に会いたい気持ちを堪えて、裳着の式にも出ず気を使いながら過ごす明石君の事は紫の上も気にしていて、ちい姫に手紙などを書かせてはいたが、この機会に母子で気兼ねなく過ごせるようにと考えたらしい。
早速明石君に伝えた所大層な驚きようだったが、大喜びで母尼君と抱き合って泣いていた。
尼君の方は嬉しい反面、入内されたら明石の君にも会えなくなるかと複雑な面持ちだったが、これで夫の入道にも宿願成就の報告が出来る。
と、早速文を用意していた。
そう、お祖父様に当たる明石の入道はちい姫が都に来て以来会うこともなく、明石の山中で一心にちい姫の開運を祈願してくれている。
これで入道の全ての立願が成就するんだなあ。
本当にすごい人だ。
明石君も我が子を手放し、近くに居ても会えない辛さは相当だったろう。
ちい姫が傷なき宝玉の如き育つよう何年も我慢してくれたんだ。
今更ながら明石君と尼君に感謝しなくちゃな。
兄妹仲の良かった夕霧からも入内の祝として、ちい姫手持ちの草紙に仮名手本や文字絵など、面白く書き加えて贈ったと聞く。
うんうん兄妹仲睦まじいのは良いことだ。
いずれは中宮の御位に昇られる方。
大事にお守りせねば、、。
いよいよちい姫入内の日が来た。
当日は紫の上が付き添い、内裏での厳かな儀式の後、東宮殿に向かう。
入内に先んじて私は準太上天皇の御位を頂き、夕霧は三位中納言となっていた。
娘が東宮へ入内の後では東宮後宮の力が働いたと噂されるのでは、、
と、案じた冷泉帝のご配慮だった。
また、私に御位を譲る事を一旦は断念されていた冷泉帝だが、格好の機会を得たとして、称号だけでも、、と、思われたんだろう。
ついに天皇の文字が私の身上に付いた。
ありがたい事だが、今となってはこの身には重たいな。
気軽に参内も出来なくなってしまいかえって寂しいが、これで冷泉帝のお気が済むなら良しとしよう、、、。
入内して3日後、紫の上が退出する際、入れ替わるように明石君が後見として東宮に赴いた。
その時、初めて紫の上と明石の君は顔を合わせたんだ。
今までちい姫を大切に育んで来た者同士、いつしか二人の間には友情のようなものが芽生えていたらしい。
初対面とは思えない程話が弾んだと聞いた。
ちい姫も東宮に厚く遇され、中宮の座は約束されたも同然。
ちい姫には幸せになってもらいたい。
無事に入内の儀式が済んで、ほっとしたのは確かだが、自分が育った後宮の事はウラ事情もよく知っているだけに、色々な事が気にかかる。
母様と違い、ちい姫がいびられるなどとは考えられない状況だが、やっぱり心配になるのは親バカってやつなのかな、、、。
嬉しいような、寂しいような、複雑な心境だった。
彼女は入内するちい姫の後見として、明石の君に内裏で御一緒頂いては?
と、言ってくれたんだ。
なんと言ってもちい姫はまだ13歳、、
実母の方がこの先細かい配慮も行き届くのでは、と、姫を気遣ってのことだった。
まったく、この女人はなんと素晴らしいことか。
美しさは元より、よくもここまで心映えの優れた女人に育ってくれたものだ、と思わず膝を打ち、(よく言った!)と心の中で叫んだ。
ちい姫に会いたい気持ちを堪えて、裳着の式にも出ず気を使いながら過ごす明石君の事は紫の上も気にしていて、ちい姫に手紙などを書かせてはいたが、この機会に母子で気兼ねなく過ごせるようにと考えたらしい。
早速明石君に伝えた所大層な驚きようだったが、大喜びで母尼君と抱き合って泣いていた。
尼君の方は嬉しい反面、入内されたら明石の君にも会えなくなるかと複雑な面持ちだったが、これで夫の入道にも宿願成就の報告が出来る。
と、早速文を用意していた。
そう、お祖父様に当たる明石の入道はちい姫が都に来て以来会うこともなく、明石の山中で一心にちい姫の開運を祈願してくれている。
これで入道の全ての立願が成就するんだなあ。
本当にすごい人だ。
明石君も我が子を手放し、近くに居ても会えない辛さは相当だったろう。
ちい姫が傷なき宝玉の如き育つよう何年も我慢してくれたんだ。
今更ながら明石君と尼君に感謝しなくちゃな。
兄妹仲の良かった夕霧からも入内の祝として、ちい姫手持ちの草紙に仮名手本や文字絵など、面白く書き加えて贈ったと聞く。
うんうん兄妹仲睦まじいのは良いことだ。
いずれは中宮の御位に昇られる方。
大事にお守りせねば、、。
いよいよちい姫入内の日が来た。
当日は紫の上が付き添い、内裏での厳かな儀式の後、東宮殿に向かう。
入内に先んじて私は準太上天皇の御位を頂き、夕霧は三位中納言となっていた。
娘が東宮へ入内の後では東宮後宮の力が働いたと噂されるのでは、、
と、案じた冷泉帝のご配慮だった。
また、私に御位を譲る事を一旦は断念されていた冷泉帝だが、格好の機会を得たとして、称号だけでも、、と、思われたんだろう。
ついに天皇の文字が私の身上に付いた。
ありがたい事だが、今となってはこの身には重たいな。
気軽に参内も出来なくなってしまいかえって寂しいが、これで冷泉帝のお気が済むなら良しとしよう、、、。
入内して3日後、紫の上が退出する際、入れ替わるように明石君が後見として東宮に赴いた。
その時、初めて紫の上と明石の君は顔を合わせたんだ。
今までちい姫を大切に育んで来た者同士、いつしか二人の間には友情のようなものが芽生えていたらしい。
初対面とは思えない程話が弾んだと聞いた。
ちい姫も東宮に厚く遇され、中宮の座は約束されたも同然。
ちい姫には幸せになってもらいたい。
無事に入内の儀式が済んで、ほっとしたのは確かだが、自分が育った後宮の事はウラ事情もよく知っているだけに、色々な事が気にかかる。
母様と違い、ちい姫がいびられるなどとは考えられない状況だが、やっぱり心配になるのは親バカってやつなのかな、、、。
嬉しいような、寂しいような、複雑な心境だった。
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