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蝶と奈也の確執
しおりを挟む2人の食事が終わった昼過ぎ、私の携帯が鳴った。
友達なんていないのに誰だろう?
奈也は安心した様に、洗い物をしてくれていた。
誰?知らない番号からだった。
【白雪、奈也に下剋上をやる。指定した場所に来い。缶の箱を二人で開けろ。そこに俺はいる】
そう言うと、電話はプツリと切られ、メールが届いた。
【緑河町の新田山ふもと、蝶と秘密が待つ】
「深雪、誰からだった?」
奈也は微笑みながら近づいてきたが、話をすると顔が強張った。
「すぐに用意して向かうぞ」
すると、奈也は焦るように着替え始めた。
車で30分ほど走り、新雪降り積もる雪の新田山に着いた。
ここは、墓地の山だった。
「俺の手を握れ、深雪。箱の場所は分かっている」
手を引かれ、墓石を踏まないように気を付けて歩いた。
「やっぱりな、あったぞ!開けようか」
私は、雪をはらいながら缶の箱を見て驚いた。
これは、私の幼い時の宝箱だった。
中身には、ドライフラワーの上に、
ポツンと古びた指輪が一つあったけど。
「白雪!奈也!待っていた」
振り返ると、奈也に似た人が立っていた。
「やっと姿を現したか。兄貴、嫌、心也!」
どうゆうこと?蝶と奈也は兄弟なの!?
「白雪。俺達の父さんは白雪の母を取り合った仲だ。今みたいにな。奈也、捕まえたいなら捕まえてみろ。俺は、父さんの悲しみと、母さんの憎しみの分、白雪を愛する。その指輪は、父さんが白雪の母にあげたものだ。お前がカルマを受け継いだんだ」
私は頭が混乱した。どうなってるの!?
すると、奈也は私を抱きしめた。
「二卵性双生児なんだ。二人で話をしたい。車で先に帰ってほしい。夕飯楽しみにしているからな!」
奈也は苦笑いをしながら、車のキーを私に渡した。
ひゅうっと吹雪く中、私は2人が去っていくのを見つめていた。
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