Butterfly

花森 雲空

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守りの奈也

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奈也に携帯を奪われ、携帯を取られ切られた。

「国家権力を振りかざす。安心しろ、深雪。何か言われたら、道で倒れて病院に行ましたって言え」

そう言うと、玄関のドアを開け、中に入れてくれた。

部屋は広く、半分ほぼ空の状態になっていた。

「用意したんだ。申し分ないだろ?」

着替えだす奈也を見て、私もコートを脱いだ。

「適当に座って。シチュー食べるだろ?缶チューハイがよかったな。梅酒も好きなんだろ?」

Butterflyで事細かに書いた私のプロフィール通りだった。

缶チューハイと、缶ビールで乾杯をし、温かいシチューをいただいた。

「美味しい!何でもこなすんだね、奈也は!私、ビックリする。温かい味がする!」

あまり、お酒に強くない私は、どちらでもないのに、おかわりを奈也に求めた。

「そんな顔されたら仕方ないな。深雪の明るい顔が好きなんだ」



サラッと言えるのにモテないのかな?

二人で一緒に住むことを決めた瞬間だった。




初めてを迎えた朝、私は恥ずかしくて奈也の寝顔を見つめていた。

その時、仕事用の携帯が鳴った。メールだ。



【警告】

一時間以内にButterflyに来なさい。

来ない場合、契約違反として

一億円要求します。



私は携帯を見つめ、眠る奈也に一礼をして、タクシーを呼んだ。

外は雪ではなく、雨が降っていた。

待てどタクシーは来ず、急いでバス停に向かった。

傘もなく走りだそうとした時、私を呼ぶ声が聞こえ振り向いた。

「深雪!!いいから真っ直ぐこっちに走ってこい!早く!!」



  

私は奈也のもとに走り出そうとした時、口を塞がれ、車に押し込められた。


「安心しろ。俺は奈也の同僚の静流(しずる)だ。Butterflyの残りが深雪さんを白雪として海外に売ろうとしている。安心してくれ。頼む!まくぞ!」
 
バックミラー越しに笑顔を見せた静流は、スポーツカーをぶっ飛ばした。

「紙切れにならないうちに銀行に向かう。二人で逃げる用意もできるだろう。それは、偽物、うまくできたコピーだからな。目がつくうちに変えよう」

付いてきていた車は消え、小さな銀行についた。

そして、雨が雪になり、銀行の中へと二人で入った。

奈也が向かうと静流にメールをだしたからだ。

私は、なるようになると思えた。


















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