家庭的な嫁さん

花森 雲空

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一緒に料理は目だけでも

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初雪が降り始めた今朝。

寒いなあと、カーテンを開けた時だった。

ジャックは吠えて走り回り、スノーはジッとしていた。
彼方は、まだまだ夢の中。



「こりゃ冷えるわ!夜は鍋にしよう」

まだ朝の4時。

私のお決まりの時間になっていた。

彼方の睡眠薬が効いているうちに、24Hスーパーへと向かうのだ。

「頼んだよ!ジャックにスノー」

引き出しの鍵をチェックして、外に出た。

何故ならば、彼方の一言からだった。

「大量服薬(OD)したら死ねるらしいよ」

今の薬は、昔より安全になったものの、致死量というものがあります。

なので、引き出しに薬を入れて、鍵を閉めた。

万が一は0ではないから。

「しかし、よく冷えること!着いた、着いた!」

おでんなんていいんじゃない?

彼方、少しでも食べてくれたらいいな!



「おかえり。ゼリー食べたから、薬もらえる?」

あぁ、一人で食べれたんだ!

引き出しの鍵を開けて、手の平に薬を出した。

ちゃんと飲むまでは見ること。

先生に言われていたので、飲んだか確かめる。

本当はしたくないんだけど。

鍵はいつも、ネックレスにつけていた。

「今日の夕飯は何?」

聞いてくれた!一喜一憂する日々が嬉しい!

「おでんだよ!ジャック用にも作ろう!」

今日は仕事はお休み。

朝からゆで卵を作りながら、おでんの準備。

彼方は、ジャックとスノーと一緒に、アクセサリーを作っていた。

器用で生真面目だからあうんだね。

だから、心が風邪を引いたんだ。

私は、熱い玉子の殻に触れながら笑い泣いた。




「こんにゃくが美味しい」

食べてくれてる!

「今日はね、初雪が降ったんだよ!それにね、道路も凍結しててね」

私のつまらない話を、彼方は頷きながら聞いてくれた。

「あのさ、失業保険なくなる前に仕事探そうと思うんだ」

私はびっくりしてしまって、思わず箸を落としかけた。

「見つけたんだ、母子手帳。俺、父親になるから」


そして、1年半後。

話したら負担になるなんて、夫婦なのに話さなかった私は自分を恥じた。

彼方は、適応障害もあることがあり、陽茉梨(ひまり)もいることから、アクセサリー作りを本格的に家で始めた。

何人何脚になるかわからないけど、勉強に終わりはないことを、私は【うつ病】に教わった気がした。

沢山、沢山の人達がいる。

みんながみんな、違うから楽しいんだ。

そんな毎日を私達は今、噛みしめて歩いている。









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