家庭的な嫁さん

花森 雲空

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外に出たくない

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私の荷物も売れてきたので、トランクルームに一緒に行こうと、彼方を誘った。

「うつ病にはね、太陽を浴びるとよくなるらしいよ!私の用事についてきてくれないかな?」



スノーとジャックと遊ぶ彼方は、ピタリととまった。

「眩しいし、寒いし、嫌だ」

3パンチをくらった私は、何としてでも彼方を外に出してあげたかった。

診察意外、外に出ないからだ。

「ジャックは、お留守番できるよね?なら、彼方なは、スノーを外に出してあげる練習してみようか?少し出たら車に乗ってたらいいからね!」

仕事も慣れてきて、収入が安定してきたものの、フリマの売り上げは大きかった。

それに、指を使うと脳がよくなるといい、彼方と一緒に、アクセサリー作りも始めていた。

【俺なんてさ】の口癖も少なくなってきた11月の頃だった。

「スノーは寒さに強いか。なら、行こうか」



黒の服装を好む様になったが、それは好んで着ているからよかった。

ジャックに留守を頼み、少し大きくなったスノーを抱えた彼方は、車に乗り込んだ。

トランクルームに寄り、服や鞄を車に詰め込んでいると、後ろから彼方の声が聞こえた。

「百合!スノー楽しそうだ!」

太陽が照るといっても、日に日に寒くなる。



「本当だ!立ってるね!彼方にありがとう!って言ってるんだよ!」

彼方は、すぐにスノーを抱えると、嬉しそうに車に乗り込んだ。

トランクルームの鍵を閉め、数字や文字が書かれていないかをチェックした。

車に乗ると、満面の笑みの彼方がいた。

私も微笑み返し、スーパーへとむかいながら、夕飯の話をした。

「何か食べれそうなものある?お粥とか、焼き芋なんかどう?ジャック、お留守番してたから、焼き芋一緒に少しずつ食べてみたら?」

ぼんやりするかと思うと、食べようかなと呟いた。

私は、車内に彼方とスノーを残し、すぐ戻るね!と、スーパーに走った。

甘口のカレーにしてみようか!焼き芋も買って。

すると、肩を叩かれて驚いた。

彼方だったのだ。

「大好きなお酒、気にせず飲むといいよ」

そういうと、車まで走り去って行った。

気を張り詰めていたのがわかったんだろうね。

頑張ったね、彼方。頑張った私。

缶チューハイを一本カゴに入れ、涙を隠して拭った。

寒くなる、とある日の嬉しい出来事だった。
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