俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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最終章 世界の夜明け

第21話 魚人との交流③

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 タタンからクルーズ共和国のことを聞いたことで、行き先の候補はヒューマニアとエルフィアに絞ることができた。それ以外だと他国との交流はなく、迫害を受けた者が一方的に流入するだけなので、技術革新の波に付いていけず、かなり質素な生活をしているらしい。

 俺としては欲しい情報を聞けて満足だけど、そこまで共和国のことを知っていて、ラグーン王国に留まっていることを疑問に思った。話の最後に理由を聞いてみることにした。

「色々と有益な情報をありがとう。最後にもう一つ聞きたいんだけど、なぜタタン達は共和国へ行かずに水場に留まっているの?」
「それは……」

 最後の質問にタタンの表情が曇る。2人の子供は『キョトン』としているが、ナナリとママリの表情も曇っているということは、好き好んで水場に留まっている訳ではなさそうだと判った。

 ここで出会ったのも何かの縁だ。俺にできることがあれば力になりたいと思ったので、踏み込んで聞いてみることにした。

「できたら話してくれないかな? 内容次第では微力だけど力になれるかも知れないよ」

 タタンは少し考え込むと、大きく深呼吸してから吹っ切れたように口を開いた。

「元々、この水場から離れた所にある湖に集落があって、そこに大勢の魚人フィシャー達が暮らしていたんだ。5年前のある日、ラグーン王国の王都拡大に伴い生活用水も大量に必要となり、俺達に立ち退くことを要求してきたんだ」
「あ、あいつらは……、魚人フィシャーが暮らしてる水は汚らわしいから、と言ったのよ!」

 ナナリは悔しそうな表情で声を荒げる。同じ世界に生きる者として、容姿が違うからと汚らわしいと言われたのだ、悔しくないわけがない。

「それでこの水場へ移ったんだね」
「本当は、みんなと一緒に共和国へ行きたかったの。でも、私のお腹には2人が居たから長旅はできなくて……」

 ママリが身重だった為に共和国へ行くことができず、この水場での生活を余儀なくされた。今は子供達の成長を待って、いずれは共和国へ移るのだと思った。

「それなら、モモン君とララリちゃんが大きくなれば共和国へ?」
「無理なんだ……。共和国へたどり着くまでに、魔物が現れるエリアを通らなければならない。俺1人では家族を守りきれない……」
「そうか……」

 他の魚人フィシャー達と移動してれば男手で女子供を守れたが、家族のみだとタタン1人では4人を守りきれないから、この水場での暮らし続ける選択しかないということか……。

 今の俺にできることは……
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