俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

文字の大きさ
上 下
331 / 363
第五章 ウォード覚醒編

第73話 ファーストコンタクト

しおりを挟む
 魔人化して泉に飛び込み、近くに居るであろう魔物達に対して呼びかけてみる。

「急な訪問を許して欲しい。旅の途中で少しの休憩で立ち寄っただけで、君たちに危害を加えるつもりはないんだ。明日の朝には去って行くから、それまで泉で水浴びをすることを認めて欲しい」

 すぐに返事がくることはなく、少し間をおいてから姿を現すことはなかったけど、強襲されることはなく返事がきた。

「仲間なのだから、わざわざ呼びかける必要はないだろう」
「僕は少し特殊な人間で、魔人化というスキルで魔物の言葉を話せるから、君たちに話しかけているんだよ」
「面白い奴なんだな。それなら魚を無駄に取らないことと、決して泉を汚さないと誓うのならば、明日の朝までは手出しはしない」
「その2つの約束を守るよ。ありがとう」

 想像以上に話の通じる相手で、明日の朝までの安全を約束してくれた。俺は感謝を伝えたので泉から出ようとすると、全く別の存在が語りかけてきた。

「少しだけ話をさせてもらってもいいかな?」

 声色だけで判断するなら若い女性のものだが、口調は無邪気な少女のようだった。泉の魔物とは関係なさそうだが、魔物の言葉を話す相手なので無碍にしない方がいいと思った。

「僕は構わないよ」
「ありがとう。私は人間から魔王と呼ばれる者よ。あなたに興味が湧いたから声をかけたの」
「魔王!? 君が魔王セレンスティアなの?」
「どうして……、私の名前を知っているの?」
「それは……」

 魔王と名乗った女性は、俺が名前を知っていることに驚いたようなので、俺は鬼の棲家にあった精神の間でのできごとを、隠すことなく全てを説明した。

「そう、鬼の棲家でそんなことがあったんだ」
「うん、さらに鬼の試練にも挑んで絆の太刀を手に入れたら、鬼の棲家はダンジョンの役目を果たしたかのように消滅したんだ」
「あなたは絆の太刀を手にしてるの?」
「そうだよ。女神セレスティア様からロハという魔人に授けられた太刀みたいだね」
「セレスティア様……、ロハ……、あなたはロハの太刀に認められたのね。」

 懐かしそうに2つの名を口にした魔王からは、人類滅亡を目指す非道な感じは全くなかった。ロハは判るけど、女神セレスティア様を懐かしそうに口にした理由を聞いてみた。

「君は女神セレスティア様を知っているの?」
「うん、今は知っていることだけ教えておくね。また話す機会があればその時にね。さようなら」
「えっ、さようなら」

 次の機会なんてあるのかと思ったけど、魔王セレンスティアとのファーストコンタクトはこんな感じで終わった。この運命の出会いも〚幸運〛によるものだと知るのは、まだ先のことになるだった。

 そして、数年の月日を経て王都に着くと、人生最大の分岐点を迎えることになる。

§小桃の一言§
 第五章 ウォード覚醒編は終了です。
 次章で最終章となりますが、私の体調が万全ではないので暫く休載させて頂きます。
 再開する時は近況ボードで報告させて頂きます。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

元剣聖のスケルトンが追放された最弱美少女テイマーのテイムモンスターになって成り上がる

ゆる弥
ファンタジー
転生した体はなんと骨だった。 モンスターに転生してしまった俺は、たまたま助けたテイマーにテイムされる。 実は前世が剣聖の俺。 剣を持てば最強だ。 最弱テイマーにテイムされた最強のスケルトンとの成り上がり物語。

処理中です...