俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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第五章 ウォード覚醒編

第57話 魔人vs魔人①

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§アズーロ視点§
 クリムゾン様を見送った後は、最後の同胞達をヤンカー市へと送り出す。

 今回のスタンピードは、完全に失敗に終わったと言えるだろう。敬愛するクリムゾン様が命を懸けたのだ、このまま終わらせることなど……

(この命を燃やし尽くして一矢報いてやるさ)

 堅固な守りに破ることができなかった城塞の門だったが、理由は判らないが簡単に突破して街への侵攻に成功したようだ。この命を懸ける想いが運を引き寄せたのかも知れないな。

 さぁ、まだ見ぬ化物よ。魔人アズーロが理性を解放して相手をしてやる!

§メインストーリー§
 戦場となった市街地に現れたイレギュラー、できることなら戦うことなく終わって欲しいと願っていたけど、俺が相手を認識しているのだから、
こちらに気づかない訳がなかった。

 イレギュラーが現れると、迷うことなくこちらに向かってきた。

(戦いは避けれなかったか……)

「イレギュラーが向かってくる。僕は少し離れるけど、みんなこれまで通りにここで待機しながら戦ってね」
「ウォード、みんなで戦えば!」

 俺がみんなを巻き込まない為に別行動をとると伝えると、ハリエットが俺の肩に手を当てて全員で戦うと言った。ただ、相手は皇帝エンペラー等とは段違いの強さなので、俺以外ではセレーナしか渡り合うことは不可能だ。

「この相手は無理だよ。みんなが生き抜く為の戦略だから指示に従って欲しい」
「っ……」
「大丈夫。必ず勝つよ!」

 ハリエットに『勝つ』と伝えてから額にキスをすると、泣きそうな表情をしながらも『コクッ』と頷いてくれたので、俺はみんなの元から離れて行こうとした瞬間、イレギュラーは想像以上の早さでやってきてしまった……。

「見つけたぞ!にんげんがぁーーーー!」
「くっそっ、もう来たのか!」

 槍を振り下ろす一撃を俺は絆の太刀で受け止めると、周囲に衝撃が走った。とんでもない一撃に死闘になることを覚悟した。この場所での戦いはみんなを巻き込む可能性があるので、俺は風魔法を使って押し返してその場を離れた。

「俺の全力の一撃を簡単に受け止めたか、お前を倒すには理性が邪魔なようだな」
「簡単じゃないさ、ギリギリだったさ」
「ふっ、その力は人というより魔人だな。理性を解放すると会話は不能になる。俺はアズーロ、魔王セレンスティア様の十傑の末席だ!命を懸けてお前は倒す!」
「僕はウォード、無能と呼ばれた人間だ」
「ふっ、面白いヤツだな。では参る!」

「グッ、ガァアア!」

 会話が終わるとアズーロの瞳が黒くなる。それが理性を解放したということなのだろう。アズーロは言葉ではない奇声をあげながら、本能のに従うままに斬りかかってところで、魔人vs魔人の戦いが始まったのだった。

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