上 下
310 / 356
第五章 ウォード覚醒編

第52話 大切な人達を守る為に②

しおりを挟む
 大型の魔物が現れたことで、スタンピードは中盤に差し掛かったといえるが、魔物の強さはまだまだ強くなっていく。モンスタールームでは皇帝エンペラーゴブリンが現れたことをを考えると、未だに将軍ジェネラルゴブリンも現れていない。

「くっ、僕達をターゲットにしてくれる方が戦いやすいな……」

 このスタンピードは、ヤンカー市を壊滅させることが目的なので、基本的に俺とセレーナを無視して城塞を目指していく。向かってくる魔物を相手にするなら、待っていれば良いので目の前の魔物に集中できる。だが現状では倒す魔物を確認して、こちらから動く必要があるのでかなり厳しい状況だ。

 泣き言を言っても仕方がない、俺とセレーナは出来る限りの魔物を倒し続けたが、大型の魔物を倒すので精一杯になり、領兵では城塞にたどり着いたゴブリンを倒しきれなかった。

 堅固な城塞は簡単に破壊されなかったけど、城塞に溢れたゴブリン達が重なり合って、徐々に山のような形になる。俺はこのままでは不味いと思い領兵に大声で指示を出した。

「ゴブリンが山になって城塞を越えようとしているぞ!剣士を向かわせて対処するんだ!」
「そんな!剣士は領主邸に配置されているから、弓士しかここには居ないんだよ……」

 ここの領主と兵長は、前のスタンピードから何も学ばなかったようだ。堅固な城塞を築くだけで乗りきれるなんて考えが甘すぎる。このままではハリエット達にも危険が及んでしまうので、俺はセレーナに指示を出してから、現状を打破する為に魔人化することにした。

「セレーナ、ここは僕が引き受けるから、ゴブリンの山を崩しに行くんだ」
「ここを1人では無理です!」
「魔人の天賦を使うから問題ないよ〚魔人化ディレーヴ〛!」
「っ……、かしこまりました」

 セレーナは俺が魔人化したことでなにかを言おうとしたけど、思い留まりゴブリンの山へと向かったが、セレーナの言いたいことは判っている。俺の魔人化した姿を領兵に見られれば、魔族の仲間だと思われて、敵として認定されるかも知れないからだ。例えそうなったとしても、俺は大切な人達を守る為なら、どんなリスクを冒してでも守る為の行動をとる。

 魔人化すれば黄金の体になるはずなのに、姿が変わっていないことに驚いていると、パミュルが声をかけてきた。

『魔人化した時に感じたんだけど、私とウォードが同化してる感覚になるの。だから、私の変化で人の姿を維持できないか試したんだけど、上手くいったようね』
『ありがとう、助かるよ』

 とりあえず見た目に関しては変わらぬまま。能力が飛躍的に向上するので、領兵に疑われるかも知れないけど黄金の体よりましだね。

 城塞の方はセレーナに任せて、俺は目の前の魔物を駆逐することにした。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~

暇人太一
ファンタジー
 大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。  白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。  勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。  転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。  それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。  魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。  小説家になろう様でも投稿始めました。

俺にとってこの異世界は理不尽すぎるのでは?~孤児からの成り上がり人生とは~

白雲八鈴
ファンタジー
 孤児として生まれた上に黒髪の人族として生まれて来てしまった俺にはこの世界は厳し過ぎた。化け物を見るような目。意味もなく殴られる。これは、孤児である俺が行商人を経て、成り上がるまでの物語である。  LUKが999なのに運がいい事なんてないのだが?何かがおかしい。  ちょっと待て、俺は見習いのはずだ。この仕事はおかしいだろう。  デートだ?この書類の山が見えないのか?  その手はなんだ?チョコレートだと?  アイスはさっきやっただろう!  おい!俺をどこに連れて行く気だ!次の仕事!!    言い換えよう。これは孤児から商人見習いになった俺の業務日誌である。  俺はこの理不尽な世界を生き抜けるだろうか。 *主人公の口調が悪いです。 *作者に目が節穴のため誤字脱字は存在します。 *小説家になろう様にも投稿させていただいております。 *今現在、更新停止中です。完結は目指す心づもりはあります···よ。

処理中です...