俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ（笑）

第五章 ウォード覚醒編

第47話 異変

§◯◯視点§
　緑門から使者がきた。

「緑門のモンスタールームが破壊されました」
「なんだと！？　かなりの暴走値が溜まっていたはずだ。勇者か英雄でも現れたのか？」
「判りませんが、あの部屋の存在に気付くことができる存在である。とだけお伝えします」

　世界に数箇所しかないモンスタールームに気付いたというのか？　あと少しで暴走値が溜まるところだったのに全てが水の泡となったのか。あと少しでスタンピードを起こし、魔王セレンスティア様の悲願である『人類滅亡』への先陣を切れたのに……。

「やはり人という存在は忌々しいな」
「それでどうされますか？」
「緑門へ向うぞ。この命を捧げてでも、強制的にスタンピードを起こしてやる」

　俺は緑門へと向かう。

　この命を使いモンスタールームの暴走値を満たして、スタンピードを起こして『人類滅亡』へ先陣を切るのだった。

§メインストーリー§
　4階層に進んだタイミングで野営をしていると、ハリエットから他のメンバーのことで報告を受ける。

「他の3人は、私達のように野営慣れしていないからさ、かなり披露が溜まっていると思うの。だから、野営が明けたら戻らない？」

　流石はハリエットだ。ダンジョンでの慣れない野営で、疲労が抜けきっていないことに気付いていた。このままマッピングを続けていれば、大きな事故を招いていたかも知れない。

「そうだね。教えてくれてありがとう。朝になったら街へ戻ることにしよう」
「うん。じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」

　そして翌朝になると、俺達は街への帰路に着いたのだった。帰りはアナスタシアの強化魔法を積極的に使ってもらい、習熟度を上げていった。

　既にマッピングを終えた階層の移動だから、かなりの速さで緑門を出ることができたけど、流石のハリエットも疲労困憊のようだ。

　俺はあと少しで宿に着くことを伝えて励ます。

「ふぅ、宿まであと少しだからね」
「あぁ～、早くお風呂に浸かりたいね」
「「ベッドが恋しい～！」」

　ハリエットはいつも通りのセリフで、他の3人は柔らかいベッドで横になりたいようだ。そんな返事を聞くと、少し緊張感が解れた気がした瞬間、俺の全身に悪寒が走った。

「！？　この感覚は……、緑門からだ！」
「ウォード、どうしたの？」

　俺の言葉にハリエットが不安な表情で声をかけてきた。緑門で危険なことが起こっていることは間違いない。それは恐らく……

「スタンピードだ……」
「「えっ」」

　俺の言葉に全員が驚く。あの時のスタンピードとは規模が違うが、今のヤンカー市の城塞なら、援軍が来るまで耐えられるかも知れない。

「急いでヤンカー市へ戻るよ。城塞を閉じて住民への被害を最小限に抑えるんだ」
「「はい」」

　魔物大群が押し寄せる前にヤンカー市にたどり着いて、全ての門を閉じさせる為に疲れた体に鞭打って急いだのだった。