俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ（笑）

第五章 ウォード覚醒編

第30話 魔法の検証

　魔法を使いたいという高鳴る気持ちを抑えながら、マッピングをしながらダンジョンを進んで行くと、すぐにその時が訪れた。

「ゴブリンが2体いるね。僕が風魔法で攻撃をするから、取りこぼしたらハリエットとサーシャに任せるね」
「「OK！」」

　指示を出した後は、ゴブリンに気付かれないように、ゆっくりと進んで行く。すると、パミュルが魔法発動のことで話しかけてきた。

『近付きながら発動する魔法を、しっかりとイメージしておくのよ。イメージさえできればいつでも発動できるからね』
『OK、試してみるよ』

　パミュルのアドバイスを受けて、風の刃をイメージしながら進んで、視界にゴブリンを捉えるとまだ少し距離があったので、発動すは魔法のイメージを確立させながら一気に距離を詰める。普通は立ち止まった状態で魔法を放つので、俺のとった行動にハリエット達は驚いた。

『タッ、タタタッ』
「えっ、ウォード？　魔法じゃなかったの？」

　俺が駆け出したことでゴブリンに気づかれたけど、俺は構わずに2体のゴブリンに両手を向けて、風魔法を発動させる。

（行け！〚風剣エアブレイド〛）

『シュパッ！』
「ぐぎゃ……」

　俺の放った風刃が簡単にゴブリンの首を刎ねると、崩れ落ちながら消滅して魔石だけが残った。

『なるほど、イメージさせ確立してれば、走りながらでも魔法は撃てるんだね』
『初めての魔法を使うのに、いきなり発動検証するなんて……、ウォードには驚かされるわ』

　パミュルと話しながら魔石を回収していると、ハリエット達が追いついて、目の前で何が起こったのか説明を求めてきた。

「今のは何だったの？　ウォードは双剣なんて持ってないよね？」
「今のは魔法で、2本の剣をイメージして発動させたんだよ。パミュルからイメージが大事だと聞いたからさ、ちょっと試してみたんだよ」
「初めて魔法を使うのに、そんなことを試すなんて驚きを通り越して呆れるわ……」
「「確かに……」」

　初めての魔法でいきなり発動検証をしたことに、みんなに呆れられた。俺としてはパミュルに魔法の説明を聞いたので、剣は出なくても魔法で撃ち抜ける自信はあった。

「初めて言っても、僕には魔法の師匠が詳しく教えてくれるからね」

　俺は左胸に手を当てて、パミュルの存在があるから魔法に関しては、ある程度の自信があったことを伝えると、3人はため息つく。

「「はぁ～」」
「やっぱり、パミュルには敵わないな……。でも、そこに居ると思うと嬉しい」

　ため息の後に、ハリエットは『ボソリ』と呟いたのだった。