俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ（笑）

第五章 ウォード覚醒編

第28話 覚醒の始まり

　ラミュルに診察をしてもらった結果、制限なくハンター活動をする許可が出たので、早速緑門へと向かうことにした。

「今日から僕も戦線復帰する。パミュルの力を継承した今の力を確認したいので、僕がメインでみんなはサポートをよろしく頼むね」
「「OK！」」
「じゃあ、僕が先頭、サーシャとアナ中団、ハリエットとメルは後方で進むよ」

　1層目の続きをしながら緑門を進むとゴブリンの気配を感じたので、俺は腰に帯刀してる【絆の太刀】に手をあてる。

「ゴブリンが3体だね。拘束はなし、ハリエットとサーシャで1体ずつ撃ってね」
「「OK！」」

　ゴブリンが近寄ってくる。俺が柄を握ったまま走り出すと、ハリエットは弓で矢を、サーシャはスリングショットで石玉を放って、的確にゴブリンの頭に命中させた。

『シュバッ！』
『シュン！』
「ぐがっ……」

　矢が貫通したゴブリンは消滅して、石玉が当たったゴブリンは、大ダメージを負ったけど消滅には至らなかったが、遅らせてくれるだけで十分だ。先頭を進んでいたゴブリンが俺の間合いに入った瞬間に、俺は刀を抜刀して駆け抜けると、後方のゴブリンに対して刀を振り下ろした。

『スッ！』
「がっ………」

『シュッ！』
「ギィ……」

　自分でも驚くほどの速さで、いとも簡単に2体のゴブリンを斬り裂いた。パミュルの身体能力ってこんなにも凄かったのかと驚きながら、刀を鞘に戻してみんなの方へ振り返ると、俺以上に驚いてるようだった。

「「す、凄い！」」

　ハリエット達は想像を越える戦闘結果に『凄い』の一言しか出なかったが、初めて俺の戦う姿を見たアナスタシアは、目を輝かせていた。俺は魔石とドロップしたアイテムを拾い終えると、みんなの元に戻って声をかける。

「身体能力の上昇が予想を超えていたよ。今の身体に馴染むのに苦労しそうだよ」
「物理だけじゃなくて、魔法も使えるようになった訳だから、馴染むまでは大変そうだね」
「そうなんだけど、物理と魔法以外にもセレーネの召喚も試したいんだよね」

　パミュルから継承した力以外にも、俺には魔物の卵モンスターエッグから誕生した幻影猫ファントムキャットの力も知っておきたい、今の俺には試したいことが多い。

「当分はウォードの試運転になりそうだね」
「今日は早めに切り上げて、明日から野営をしたいと思うからその準備をしようか」
「OK！」

　この日は手短にマッピングを済ませて、明日からの野営に備えて街へ戻っていった。

　この日から俺は本格的にハンター活動を再開した。パミュルから継承した力を覚醒する第一歩を歩み始めたのだった。