俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ（笑）

第五章 ウォード覚醒編

第24話 付与効果の優先順位

　夕食が終わってからは、アナスタシアの付与魔法についての話し合いをすることにした。

「強化魔法についてはみんなも理解してくれたと思うけど、次は付与魔法のことで話し合いをしたいんだ」
「そもそも付与魔法ってどんなものなの？」
「ハンター協会ではその辺りの天賦情報はなかったの？」
「うん、武術や魔法の天賦はあったけど、強化や付与についての情報はなかったよ」
「私も同じかな。メルの重力魔法ことも知らなかったからね」

　俺が話し合いを提案すると、ハリエットから付与魔法について説明を求められた。元協会の職員だった2人も知らないなんて、この世界は天賦についての知識の乏しさに驚いた。詳しく記載された本は存在するけど、それを使って学ぼうとする人はほんの一握りしか居ないんだね。

「アナには少し説明したんだけど、アイテムに効果を付与できるんだよ。永久に効果が続く訳ではないから、継続して付与をしてもらわないとダメなんだけどね。武器に斬れ味や貫通力の効果を付与したり、身に着けるアイテムに攻撃・防御・素早さの効果を付与したりね」
「それって、もの凄い天賦だよね！だって、強化魔法と付与魔法の2つの効果を受けたら、確実に戦闘が楽になるもん」

　俺が簡単な説明をすると、メルローズは内容を聞いて驚きの声をあげた。どちらか1つでも凄いのに、アナスタシアはその2つの天賦を持ってるんだから凄い。

「うん、現状では全ての効果を付与できる訳じゃないから、1つ1つの効果を理解してもらわないといけないんだ」
「その優先順位を決める話し合いをするだね」

　メルローズが話し合いをする意味を口にすると、みんなも納得したようで頷いていた。

「そういうこと。全員が恩恵を受けれる効果をするのが妥当だと思うから、みんなの意見を聞きたいんだよ」
「「OK！」」

　そこからの話し合いは、武器や防具への付与ではなく、リングやブレスレットなどへ付与することが決まった。さらに斬れ味や貫通力などの瞬間的なものよりも、身体に関わる効果を上げることが良いと判断した。そして最終的にパーティー特性を考えて、素早さを付与するのがベストと判断したところで、話し合いはまとまった。

「付与魔法に関しては素早さの効果付与で決まったから、アナはそのつもりで勉強を進めるからよろしくね。たくさんのことを学ぶことになるから大変だと思うけど、一緒に頑張ろう」
「うん、先生よろしくね！」
「でも勿体ないよね。学校へ通えばしばらくの間は使わないんだもんね」

　俺がアナスタシアに話しかけていると、ハリエットは学校へ通った時のことを口にした。するとアナスタシアは、学校へ通わないこと知らない3人に向かって、これからの自分のことを語りだしたのだった。