俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ（笑）

第五章 ウォード覚醒編

第23話 慌てずにね

　アナスタシアから逆プロポーズを受けて驚いた後に、さらに追い打ちをかけるようにサーシャとメルローズが、俺に好意を持っているなんて言われたので、驚きが重なって思考回路が停止する。

『ふふっ、知識人のウォードでも、恋愛の分野だけは苦手みたいね』
『面目ない……、パミュルの言っていたことが正解だったんだね。この場合はどうすればいい？』
『アナについては、パーティーメンバーとして欲しかったことを伝えて、次の街に着くまで様子を見れば良いんじゃないかしら？サーシャとメルについては、そう思われていると心に留めて置くだけで良いわ』

　俺が助けを求めると、的確なアドバイスをしてくれたので、言われた通りに対応する。俺の恋愛経験値ではそれ以外に方法がないからね。少し間が空いたけど、アナスタシアに返事をする。

「サーシャとメルがそう思ってるなんて、全く判らなかったから驚いたよ。それと、アナのことを欲しいと言ったのは輝煌星きこうせいのメンバーとして欲しいと言ったんだよ。誤解を招く言い方だったね。ごめん」

　誤解を招いたと謝ると、アナスタシアは驚くこともなく首を横に振る。そして、明るい笑顔を見せながら口を開いた。

「そうだと思ってました。でも、その言葉を聞いてからウォードを意識し始めたの。徐々にその思いが大きくなって、今ではこの思いが『好き』なんだと判ったんだよ」
「それで返事なんだけど、僕もアナスタシアのことを真剣に考えるからさ、慌てずにいこうと思うんだけどどうかな？」
「はい、私のことを意識してくれるだけで十分です。必ず私のことを好きにしてみせますからね」

　なんだろう？　アナスタシアの笑顔から確固たる自信を感じて、その雰囲気はパミュルと被ってるように見えた。実際、アナスタシアにはパミュルの血が流れている訳だから、当たり前なのかも知れないね。

「じゃあ今日からは、強化魔法と付与魔法について学んでいこうか」
「はい、おなた！」
「ぶっ！」
「冗談だよ？　よろしくねウォード先生！」

　これは……、本当にパミュルを相手にしている感じだ。このまま成長すると、見た目も中身もそっくりになりそうで、そのことを考えると思わず身震いしてしまった。

　とりあえず、アナスタシアの問題は落ち着いた。

　ハリエット達が戻る頃には、何事もなかったように付与魔法の基本的な説明を終えていた。みんなが揃ったところで、何を付与するのかを話し合いで決めることにしたのだった。