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第五章 ウォード覚醒編
第9話 妹を頼みます
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宿で静養を始めて2週間が経ってラミュルの診察を受ける日がきた。今回の診察結果次第では、討伐の指示役としてパーティーに復帰できるので、足取り軽くラミュルの家へと向った。
「はい、服を着てもいいよ」
「うん、それでどんな感じ?」
ラミュルの診察が終わると、診察結果を早く知りたくて、シャツを着終わると前に話しかけた。はやる気持ちを抑えきれない俺の様子に少し驚きながら、診察結果を教えてくれた。
「いつも冷静なお兄ちゃんでも、そんな表情を見せる時があるんだね。診察結果は順調そのもので、戦闘行為を行わない指示役ならパーティーの復帰を認めるわ」
「ありがとう!順調ならあと2週間で戦闘も可能なんだね?」
「戦闘といっても、最初は魔法や弓を使った遠距離攻撃にしてね。討伐からは戻ったら必ず診察に来ることも忘れちゃダメだよ?」
「うん」
「診察はこれで終わりだよ」
「ありがとう。診察とは別なんだけど、アナちゃんのことで話があるんだ」
俺は診察が終わったタイミングで、アナスタシアと話した内容を伝えることにした。ラミュルは、俺の口から妹の話があると言われて、驚きながらも姿勢を正した。
「アナのことって?」
「うん、実は……」
俺はアナスタシアから聞いたことを、包み隠さずに全てを伝えると、話を聞くラミュルの表情が少しずつ険しくなっていった。自分には打ち明けてくれてなかったことが、かなりショックだったようで、話しが終わる頃には両手で目頭を押さえていた。
「そこまで思いつめていたのね……。でも、仕方ないよね?私はお母さんのことを信じなかったんだもんね……」
「うん、セナが居ないこの街に暮らすのは、苦痛でしかないのは僕にも理解できるんだ。この嫌悪感は決して消すことはできない、だからこの街を離れることに力を貸したいんだ」
俺の言葉を聞いて、ラミュルは両手を膝の上に置いて上を向いた。一筋の涙が頬を伝って落ちると、大きく深呼吸をしてから目を開けて、俺に顔を向け頭を下げながら話しかけてきた。
「お兄ちゃん、私は国の管理下にあるからここから離れることができない。どうかアナを、妹を頼みます」
「判ったよ。必ずアナちゃんの望む所まで送り届けることを約束するよ。それで、僕が馬車旅に出れるのは、まだ先になるかな?」
「順調だけど、あと1ヵ月半は様子をみたい」
「判った。アナちゃんには僕から伝えておくよ」
「うん、ありがとう。できたら出発するまでは、お兄ちゃんのパーティーで預かってくれない?多少は身を守れた方が良いでしょ?」
「判った。その辺りもアナちゃんと話すよ」
たった1人となった身内と離れるのは辛いだろうけど、アナスタシアの気持ちを尊重して、俺と一緒にヤンカー市を離れることを認めた。
話が終わると、俺はラミュルを抱き寄せると、胸の中で大きな声をあげながら泣いたのだった。
「はい、服を着てもいいよ」
「うん、それでどんな感じ?」
ラミュルの診察が終わると、診察結果を早く知りたくて、シャツを着終わると前に話しかけた。はやる気持ちを抑えきれない俺の様子に少し驚きながら、診察結果を教えてくれた。
「いつも冷静なお兄ちゃんでも、そんな表情を見せる時があるんだね。診察結果は順調そのもので、戦闘行為を行わない指示役ならパーティーの復帰を認めるわ」
「ありがとう!順調ならあと2週間で戦闘も可能なんだね?」
「戦闘といっても、最初は魔法や弓を使った遠距離攻撃にしてね。討伐からは戻ったら必ず診察に来ることも忘れちゃダメだよ?」
「うん」
「診察はこれで終わりだよ」
「ありがとう。診察とは別なんだけど、アナちゃんのことで話があるんだ」
俺は診察が終わったタイミングで、アナスタシアと話した内容を伝えることにした。ラミュルは、俺の口から妹の話があると言われて、驚きながらも姿勢を正した。
「アナのことって?」
「うん、実は……」
俺はアナスタシアから聞いたことを、包み隠さずに全てを伝えると、話を聞くラミュルの表情が少しずつ険しくなっていった。自分には打ち明けてくれてなかったことが、かなりショックだったようで、話しが終わる頃には両手で目頭を押さえていた。
「そこまで思いつめていたのね……。でも、仕方ないよね?私はお母さんのことを信じなかったんだもんね……」
「うん、セナが居ないこの街に暮らすのは、苦痛でしかないのは僕にも理解できるんだ。この嫌悪感は決して消すことはできない、だからこの街を離れることに力を貸したいんだ」
俺の言葉を聞いて、ラミュルは両手を膝の上に置いて上を向いた。一筋の涙が頬を伝って落ちると、大きく深呼吸をしてから目を開けて、俺に顔を向け頭を下げながら話しかけてきた。
「お兄ちゃん、私は国の管理下にあるからここから離れることができない。どうかアナを、妹を頼みます」
「判ったよ。必ずアナちゃんの望む所まで送り届けることを約束するよ。それで、僕が馬車旅に出れるのは、まだ先になるかな?」
「順調だけど、あと1ヵ月半は様子をみたい」
「判った。アナちゃんには僕から伝えておくよ」
「うん、ありがとう。できたら出発するまでは、お兄ちゃんのパーティーで預かってくれない?多少は身を守れた方が良いでしょ?」
「判った。その辺りもアナちゃんと話すよ」
たった1人となった身内と離れるのは辛いだろうけど、アナスタシアの気持ちを尊重して、俺と一緒にヤンカー市を離れることを認めた。
話が終わると、俺はラミュルを抱き寄せると、胸の中で大きな声をあげながら泣いたのだった。
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