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第五章 ウォード覚醒編
第8話 大嫌いです……
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アナスタシアは声を震わせながら、想いの全てを吐き出す。
「今の会話だけで全てが判っちゃうんですね。私は生まれて物心がついた頃から、このヤンカー市と全ての人目のことが大嫌いです……」
住んでる場所、住んでる人の全てを嫌いだと言うと、その後は沈黙してしまった。いや、アナスタシアの心にはそれ以外の感情はないのかも知れない。物心がつけば大好きな母は、住民達から忌み嫌う目を向けられ、その目は自分にも向けられていたんだ。ずっと辛い思いで過ごしてたけど、セナが居たから耐えることができたんだと思う。
「それはセナのことがあったから?」
「うん、お母さんは嘘をついてなかった。それなのに誰一人信じずに手を差し伸べなかったもん。お姉ちゃんさえ信じてくれてなかった……」
アナスタシアの中では、ラミュルに対するわだかまりは解消されてないのか、そうなるとここで暮らすのはストレス以外の何物でもない。
「だから、この街に居ることが耐えれない?」
「はい、お母さんが居なくなったこの街に暮らす理由なんてありません」
辛い想いをしながら暮らすのは可哀想だと思う。俺がアナスタシアと同じ境遇なら、絶対に街を離れたと思うから力になろうと思った。
「判ったよ。僕からそのことをラミュルに伝えるよ。そして、アナちゃんの行きたい所へ連れて行ってあげるから、どこか希望はあるのかな?」
「まだ、どこへ行きたいとかありません」
「そうか、僕も討伐ができるまで時間がかかるから、それまでは勉強をしながら考えようか」
「はい、ありがとうございます」
アナスタシアは、自分の中に溜め込んでいたものを、全て吐き出すことができたようで、話が終わる頃には『スッキリ』とした表情になり、そのパミュルに似た顔に見惚れそうになった。
暫くすると、ハリエット達が帰ってきたので、アナスタシアも交えて夕食を取った後に、家へと送り届けたのだった。
§アナスタシア視点§
ウォードさんは本当に凄い。
少し話しただけなのに私の悩みに気づいて、相談に乗るだけじゃなく、私なんかの為に解決する方法を考えてくれた。スタンピードで亡くなってなければ、親子3人で楽しい時間を過ごせてたのかと思うと本当に残念だ。
(お父さんであって、お父さんじゃない……か、ウォードさんと一緒に暮らせたら、きっと楽しい毎日なんだろうな)
輝煌星の人達と夕食を一緒に取って判った。みんなウォードさんのことが大好きで、ウォードさんもみんなのことが大好きなんだと、私もそんな毎日を過ごしてみたいな……
(ウォードさんのことを想うと胸が『ドキドキ』する。この感じはなんだろう?)
「今の会話だけで全てが判っちゃうんですね。私は生まれて物心がついた頃から、このヤンカー市と全ての人目のことが大嫌いです……」
住んでる場所、住んでる人の全てを嫌いだと言うと、その後は沈黙してしまった。いや、アナスタシアの心にはそれ以外の感情はないのかも知れない。物心がつけば大好きな母は、住民達から忌み嫌う目を向けられ、その目は自分にも向けられていたんだ。ずっと辛い思いで過ごしてたけど、セナが居たから耐えることができたんだと思う。
「それはセナのことがあったから?」
「うん、お母さんは嘘をついてなかった。それなのに誰一人信じずに手を差し伸べなかったもん。お姉ちゃんさえ信じてくれてなかった……」
アナスタシアの中では、ラミュルに対するわだかまりは解消されてないのか、そうなるとここで暮らすのはストレス以外の何物でもない。
「だから、この街に居ることが耐えれない?」
「はい、お母さんが居なくなったこの街に暮らす理由なんてありません」
辛い想いをしながら暮らすのは可哀想だと思う。俺がアナスタシアと同じ境遇なら、絶対に街を離れたと思うから力になろうと思った。
「判ったよ。僕からそのことをラミュルに伝えるよ。そして、アナちゃんの行きたい所へ連れて行ってあげるから、どこか希望はあるのかな?」
「まだ、どこへ行きたいとかありません」
「そうか、僕も討伐ができるまで時間がかかるから、それまでは勉強をしながら考えようか」
「はい、ありがとうございます」
アナスタシアは、自分の中に溜め込んでいたものを、全て吐き出すことができたようで、話が終わる頃には『スッキリ』とした表情になり、そのパミュルに似た顔に見惚れそうになった。
暫くすると、ハリエット達が帰ってきたので、アナスタシアも交えて夕食を取った後に、家へと送り届けたのだった。
§アナスタシア視点§
ウォードさんは本当に凄い。
少し話しただけなのに私の悩みに気づいて、相談に乗るだけじゃなく、私なんかの為に解決する方法を考えてくれた。スタンピードで亡くなってなければ、親子3人で楽しい時間を過ごせてたのかと思うと本当に残念だ。
(お父さんであって、お父さんじゃない……か、ウォードさんと一緒に暮らせたら、きっと楽しい毎日なんだろうな)
輝煌星の人達と夕食を一緒に取って判った。みんなウォードさんのことが大好きで、ウォードさんもみんなのことが大好きなんだと、私もそんな毎日を過ごしてみたいな……
(ウォードさんのことを想うと胸が『ドキドキ』する。この感じはなんだろう?)
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