266 / 363
第五章 ウォード覚醒編
第8話 大嫌いです……
しおりを挟む
アナスタシアは声を震わせながら、想いの全てを吐き出す。
「今の会話だけで全てが判っちゃうんですね。私は生まれて物心がついた頃から、このヤンカー市と全ての人目のことが大嫌いです……」
住んでる場所、住んでる人の全てを嫌いだと言うと、その後は沈黙してしまった。いや、アナスタシアの心にはそれ以外の感情はないのかも知れない。物心がつけば大好きな母は、住民達から忌み嫌う目を向けられ、その目は自分にも向けられていたんだ。ずっと辛い思いで過ごしてたけど、セナが居たから耐えることができたんだと思う。
「それはセナのことがあったから?」
「うん、お母さんは嘘をついてなかった。それなのに誰一人信じずに手を差し伸べなかったもん。お姉ちゃんさえ信じてくれてなかった……」
アナスタシアの中では、ラミュルに対するわだかまりは解消されてないのか、そうなるとここで暮らすのはストレス以外の何物でもない。
「だから、この街に居ることが耐えれない?」
「はい、お母さんが居なくなったこの街に暮らす理由なんてありません」
辛い想いをしながら暮らすのは可哀想だと思う。俺がアナスタシアと同じ境遇なら、絶対に街を離れたと思うから力になろうと思った。
「判ったよ。僕からそのことをラミュルに伝えるよ。そして、アナちゃんの行きたい所へ連れて行ってあげるから、どこか希望はあるのかな?」
「まだ、どこへ行きたいとかありません」
「そうか、僕も討伐ができるまで時間がかかるから、それまでは勉強をしながら考えようか」
「はい、ありがとうございます」
アナスタシアは、自分の中に溜め込んでいたものを、全て吐き出すことができたようで、話が終わる頃には『スッキリ』とした表情になり、そのパミュルに似た顔に見惚れそうになった。
暫くすると、ハリエット達が帰ってきたので、アナスタシアも交えて夕食を取った後に、家へと送り届けたのだった。
§アナスタシア視点§
ウォードさんは本当に凄い。
少し話しただけなのに私の悩みに気づいて、相談に乗るだけじゃなく、私なんかの為に解決する方法を考えてくれた。スタンピードで亡くなってなければ、親子3人で楽しい時間を過ごせてたのかと思うと本当に残念だ。
(お父さんであって、お父さんじゃない……か、ウォードさんと一緒に暮らせたら、きっと楽しい毎日なんだろうな)
輝煌星の人達と夕食を一緒に取って判った。みんなウォードさんのことが大好きで、ウォードさんもみんなのことが大好きなんだと、私もそんな毎日を過ごしてみたいな……
(ウォードさんのことを想うと胸が『ドキドキ』する。この感じはなんだろう?)
「今の会話だけで全てが判っちゃうんですね。私は生まれて物心がついた頃から、このヤンカー市と全ての人目のことが大嫌いです……」
住んでる場所、住んでる人の全てを嫌いだと言うと、その後は沈黙してしまった。いや、アナスタシアの心にはそれ以外の感情はないのかも知れない。物心がつけば大好きな母は、住民達から忌み嫌う目を向けられ、その目は自分にも向けられていたんだ。ずっと辛い思いで過ごしてたけど、セナが居たから耐えることができたんだと思う。
「それはセナのことがあったから?」
「うん、お母さんは嘘をついてなかった。それなのに誰一人信じずに手を差し伸べなかったもん。お姉ちゃんさえ信じてくれてなかった……」
アナスタシアの中では、ラミュルに対するわだかまりは解消されてないのか、そうなるとここで暮らすのはストレス以外の何物でもない。
「だから、この街に居ることが耐えれない?」
「はい、お母さんが居なくなったこの街に暮らす理由なんてありません」
辛い想いをしながら暮らすのは可哀想だと思う。俺がアナスタシアと同じ境遇なら、絶対に街を離れたと思うから力になろうと思った。
「判ったよ。僕からそのことをラミュルに伝えるよ。そして、アナちゃんの行きたい所へ連れて行ってあげるから、どこか希望はあるのかな?」
「まだ、どこへ行きたいとかありません」
「そうか、僕も討伐ができるまで時間がかかるから、それまでは勉強をしながら考えようか」
「はい、ありがとうございます」
アナスタシアは、自分の中に溜め込んでいたものを、全て吐き出すことができたようで、話が終わる頃には『スッキリ』とした表情になり、そのパミュルに似た顔に見惚れそうになった。
暫くすると、ハリエット達が帰ってきたので、アナスタシアも交えて夕食を取った後に、家へと送り届けたのだった。
§アナスタシア視点§
ウォードさんは本当に凄い。
少し話しただけなのに私の悩みに気づいて、相談に乗るだけじゃなく、私なんかの為に解決する方法を考えてくれた。スタンピードで亡くなってなければ、親子3人で楽しい時間を過ごせてたのかと思うと本当に残念だ。
(お父さんであって、お父さんじゃない……か、ウォードさんと一緒に暮らせたら、きっと楽しい毎日なんだろうな)
輝煌星の人達と夕食を一緒に取って判った。みんなウォードさんのことが大好きで、ウォードさんもみんなのことが大好きなんだと、私もそんな毎日を過ごしてみたいな……
(ウォードさんのことを想うと胸が『ドキドキ』する。この感じはなんだろう?)
29
お気に入りに追加
117
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
元剣聖のスケルトンが追放された最弱美少女テイマーのテイムモンスターになって成り上がる
ゆる弥
ファンタジー
転生した体はなんと骨だった。
モンスターに転生してしまった俺は、たまたま助けたテイマーにテイムされる。
実は前世が剣聖の俺。
剣を持てば最強だ。
最弱テイマーにテイムされた最強のスケルトンとの成り上がり物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる