256 / 356
第四章 帰郷編
第72話 ハリエットの心内
しおりを挟む
俺はパミュルと愛を確かめあった。前世の時は何も判らずにセナに身を委ねたけど、今回は前世の記憶があるので、パミュルと向き合うことができた。
「ふふっ、私がウォードの初めての女になれたのね。それにしても、前世の記憶のせいなのか初めてにしては上手過ぎて驚いたわよ?」
「うっ……、それを言ったら僕もパミュルの初めての男になったってことだよね?だから同じ言葉をそのまま返すよ」
「「ぷっ、あははっ」」
俺達は互い笑いあってから、見つめ合うと自然とキスをして互いの体を求めあった。こうして触れ合うことがなくなるのかと思うと、パミュルにもっと触れて、その感触を覚えておきたいと思ったから。それはパミュルも同じなんだろうね。
そんな愛しい時間を過ごした後は、みんなが討伐から戻るのを2人で料理をしながら待った。
そして、3人が討伐から戻って来ると、2人で作った料理を振る舞いながら、俺がパミュルを受け入れることを報告するので声をかける。
「討伐お疲れ様、今日はパミュルと料理を作ったから楽しみにしててね。その時に話があるから先に汗を流してきてくれるかな」
「あっ、OK!直ぐに汗を流してくるね」
俺が声をかけると、ハリエットは何かを察したようで、『サッ』と汗を流し終えて食堂へ戻ってきたので、みんなで食卓を囲んで食べ始める。
最初は食事の話をしていたけど、頃合いを見計らって俺が話そうとすると、ハリエットが姿勢を正してから口を開いた。
「ウォードが話そうとしてるのは、パミュルのことだよね?私達は前に相談を受けていたの。今まで黙っていてごめんなさい」
俺は思わずパミュルの顔を見ると、小さく頷きながらそのことを説明をした。
「当時はラミュルに心臓の構造を学び始めたばかりだったから、可能なのかどうかが判らなくて、先にハリエット達に相談をしたの。話すのが遅くなってごめんなさい」
「そうなんだね。でも、みんなが知ってるのなら話は早いね。僕はパミュルの提案を受け入れることにしたんだ」
「じゃあ、ラミュルさんから大丈夫だと言われたってことなのね?」
ハリエットが確認をすると、パミュルは『コクリ』と頷いた。
「そっか……、ウォードの心臓になるんだね。パミュルとウォードが決めたのなら私はそれを尊重するよ。うん、後のことは私達に任せてね……」
言葉を終えた時には、ハリエットの瞳から涙が溢れ出ていて、さらに振り絞るような声で話を続けた。
「パミュルとの別れは悲しいはずなのに、ウォードは生き続けるという喜びの思いがある。そんな自分が嫌になる……」
ハリエットが心の内を吐き出すと泣き崩れてしまう。パミュルはハリエットに近づいて抱擁する。
「それで良いのよ。そんなハリエットだからウォードを任せることができるのよ」
「パミュル~!」
苦楽をともにしてきた2人が、涙を流しながら抱き合っていたのだった。
「ふふっ、私がウォードの初めての女になれたのね。それにしても、前世の記憶のせいなのか初めてにしては上手過ぎて驚いたわよ?」
「うっ……、それを言ったら僕もパミュルの初めての男になったってことだよね?だから同じ言葉をそのまま返すよ」
「「ぷっ、あははっ」」
俺達は互い笑いあってから、見つめ合うと自然とキスをして互いの体を求めあった。こうして触れ合うことがなくなるのかと思うと、パミュルにもっと触れて、その感触を覚えておきたいと思ったから。それはパミュルも同じなんだろうね。
そんな愛しい時間を過ごした後は、みんなが討伐から戻るのを2人で料理をしながら待った。
そして、3人が討伐から戻って来ると、2人で作った料理を振る舞いながら、俺がパミュルを受け入れることを報告するので声をかける。
「討伐お疲れ様、今日はパミュルと料理を作ったから楽しみにしててね。その時に話があるから先に汗を流してきてくれるかな」
「あっ、OK!直ぐに汗を流してくるね」
俺が声をかけると、ハリエットは何かを察したようで、『サッ』と汗を流し終えて食堂へ戻ってきたので、みんなで食卓を囲んで食べ始める。
最初は食事の話をしていたけど、頃合いを見計らって俺が話そうとすると、ハリエットが姿勢を正してから口を開いた。
「ウォードが話そうとしてるのは、パミュルのことだよね?私達は前に相談を受けていたの。今まで黙っていてごめんなさい」
俺は思わずパミュルの顔を見ると、小さく頷きながらそのことを説明をした。
「当時はラミュルに心臓の構造を学び始めたばかりだったから、可能なのかどうかが判らなくて、先にハリエット達に相談をしたの。話すのが遅くなってごめんなさい」
「そうなんだね。でも、みんなが知ってるのなら話は早いね。僕はパミュルの提案を受け入れることにしたんだ」
「じゃあ、ラミュルさんから大丈夫だと言われたってことなのね?」
ハリエットが確認をすると、パミュルは『コクリ』と頷いた。
「そっか……、ウォードの心臓になるんだね。パミュルとウォードが決めたのなら私はそれを尊重するよ。うん、後のことは私達に任せてね……」
言葉を終えた時には、ハリエットの瞳から涙が溢れ出ていて、さらに振り絞るような声で話を続けた。
「パミュルとの別れは悲しいはずなのに、ウォードは生き続けるという喜びの思いがある。そんな自分が嫌になる……」
ハリエットが心の内を吐き出すと泣き崩れてしまう。パミュルはハリエットに近づいて抱擁する。
「それで良いのよ。そんなハリエットだからウォードを任せることができるのよ」
「パミュル~!」
苦楽をともにしてきた2人が、涙を流しながら抱き合っていたのだった。
29
お気に入りに追加
117
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる