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第四章 帰郷編

第72話 ハリエットの心内

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 俺はパミュルと愛を確かめあった。前世の時は何も判らずにセナに身を委ねたけど、今回は前世の記憶があるので、パミュルと向き合うことができた。

「ふふっ、私がウォードの初めての女になれたのね。それにしても、前世の記憶のせいなのか初めてにしては上手過ぎて驚いたわよ?」
「うっ……、それを言ったら僕もパミュルの初めての男になったってことだよね?だから同じ言葉をそのまま返すよ」
「「ぷっ、あははっ」」

 俺達は互い笑いあってから、見つめ合うと自然とキスをして互いの体を求めあった。こうして触れ合うことがなくなるのかと思うと、パミュルにもっと触れて、その感触を覚えておきたいと思ったから。それはパミュルも同じなんだろうね。

 そんな愛しい時間を過ごした後は、みんなが討伐から戻るのを2人で料理をしながら待った。

 そして、3人が討伐から戻って来ると、2人で作った料理を振る舞いながら、俺がパミュルを受け入れることを報告するので声をかける。

「討伐お疲れ様、今日はパミュルと料理を作ったから楽しみにしててね。その時に話があるから先に汗を流してきてくれるかな」
「あっ、OK!直ぐに汗を流してくるね」

 俺が声をかけると、ハリエットは何かを察したようで、『サッ』と汗を流し終えて食堂へ戻ってきたので、みんなで食卓を囲んで食べ始める。

 最初は食事の話をしていたけど、頃合いを見計らって俺が話そうとすると、ハリエットが姿勢を正してから口を開いた。

「ウォードが話そうとしてるのは、パミュルのことだよね?私達は前に相談を受けていたの。今まで黙っていてごめんなさい」

 俺は思わずパミュルの顔を見ると、小さく頷きながらそのことを説明をした。

「当時はラミュルに心臓の構造を学び始めたばかりだったから、可能なのかどうかが判らなくて、先にハリエット達に相談をしたの。話すのが遅くなってごめんなさい」
「そうなんだね。でも、みんなが知ってるのなら話は早いね。僕はパミュルの提案を受け入れることにしたんだ」
「じゃあ、ラミュルさんから大丈夫だと言われたってことなのね?」

 ハリエットが確認をすると、パミュルは『コクリ』と頷いた。

「そっか……、ウォードの心臓になるんだね。パミュルとウォードが決めたのなら私はそれを尊重するよ。うん、後のことは私達に任せてね……」

 言葉を終えた時には、ハリエットの瞳から涙が溢れ出ていて、さらに振り絞るような声で話を続けた。

「パミュルとの別れは悲しいはずなのに、ウォードは生き続けるという喜びの思いがある。そんな自分が嫌になる……」

 ハリエットが心の内を吐き出すと泣き崩れてしまう。パミュルはハリエットに近づいて抱擁する。

「それで良いのよ。そんなハリエットだからウォードを任せることができるのよ」
「パミュル~!」

 苦楽をともにしてきた2人が、涙を流しながら抱き合っていたのだった。

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