255 / 363
第四章 帰郷編
第71話 望みが叶った時
しおりを挟む
◇◇◇パミュル視点
セナとの別れを済ませてからは、アナスタシアに勉強を教えに出かけるくらいになり、宿に篭もることが多くなった。気になる体調は平行線で、倒れることはないけど胸の痛みは頻繁にあるようで、ラミュルが言うには残された時間はそう長くないらしい。
私達は常に1人は宿に残して、輝煌星として簡単な討伐依頼をこなしている。私だけは宿に残る時以外は、討伐ではなくラミュルのもとで心臓の構造を学んでいた。その勉強もようやく終わって、ラミュルの知りうる知識は全て教えてもらい、実際に心臓に変化して確認してもらうと、合格点をもらい上手くいくと言われた。
いつでもウォードの心臓になれるけど、一つだけ心残りがあるの。ウォードと心体ともに愛し合いたい思いがあって、その望みさえ叶えば思い残すことは全くない。
(私が望めば、ウォードは受け入れてくれるかしら……)
断られた時の考えると中々言えずにいたけど、残された時間を考えると悠長なことは言ってられないので、宿に残る時に思いきって伝えることにした。
討伐へ向かうメンバーを見送った後は、ウォードはいつも通りベッドで横になっている。私は意を決して全てを伝える為に部屋に入って行く。
「ねぇ、少し話をしたいんだけど大丈夫?」
「うん、改まらなくてもいつでも話してくれて良いんだよ」
「ふふっ、そうね。じゃあ遠慮なく話すわね」
私はウォードが居ない世界に興味がないと伝えてから、天賦の変化を使ってウォードの心臓になり、ともに生き続けたいという思いを伝えた。
「そんなことが本当に可能なの?できたとしてもパミュルは……」
「私はラミュルのもとで心臓の構造を学んで、実際に変化して確認をしてもらって、可能だと太鼓判をもらったのよ」
「でも……、パミュルは二度と元の姿に戻れず、こうして触れることもできなくなるんだよ?」
心臓になることが可能だと伝えると、ウォードは悲しそうな表情をしながら、私の頬に触れてから顔を近づけてキスしてきた。
「そうね。こんな触れ合いはできなくなるわね。それでも、私はウォードに生きて欲しいの。だから私のワガママを許して欲しいの……、ダメかしら?」
「ズルい言い方だよ……、セナを失ったばかりなのに、パミュルまで……」
私の言葉を聞いた後、ウォードは涙を流して下を向いてしまう、私は胸元に抱き寄せて声をかける。
「私は居なくならないのよ?常に一緒に生きていくの。心臓の鼓動が止まるまで……、ウォード愛してるわ」
「パミュル……」
私はキスを交わした後、遂にウォードと愛を確かめ合うという望みがかなったのだった。
セナとの別れを済ませてからは、アナスタシアに勉強を教えに出かけるくらいになり、宿に篭もることが多くなった。気になる体調は平行線で、倒れることはないけど胸の痛みは頻繁にあるようで、ラミュルが言うには残された時間はそう長くないらしい。
私達は常に1人は宿に残して、輝煌星として簡単な討伐依頼をこなしている。私だけは宿に残る時以外は、討伐ではなくラミュルのもとで心臓の構造を学んでいた。その勉強もようやく終わって、ラミュルの知りうる知識は全て教えてもらい、実際に心臓に変化して確認してもらうと、合格点をもらい上手くいくと言われた。
いつでもウォードの心臓になれるけど、一つだけ心残りがあるの。ウォードと心体ともに愛し合いたい思いがあって、その望みさえ叶えば思い残すことは全くない。
(私が望めば、ウォードは受け入れてくれるかしら……)
断られた時の考えると中々言えずにいたけど、残された時間を考えると悠長なことは言ってられないので、宿に残る時に思いきって伝えることにした。
討伐へ向かうメンバーを見送った後は、ウォードはいつも通りベッドで横になっている。私は意を決して全てを伝える為に部屋に入って行く。
「ねぇ、少し話をしたいんだけど大丈夫?」
「うん、改まらなくてもいつでも話してくれて良いんだよ」
「ふふっ、そうね。じゃあ遠慮なく話すわね」
私はウォードが居ない世界に興味がないと伝えてから、天賦の変化を使ってウォードの心臓になり、ともに生き続けたいという思いを伝えた。
「そんなことが本当に可能なの?できたとしてもパミュルは……」
「私はラミュルのもとで心臓の構造を学んで、実際に変化して確認をしてもらって、可能だと太鼓判をもらったのよ」
「でも……、パミュルは二度と元の姿に戻れず、こうして触れることもできなくなるんだよ?」
心臓になることが可能だと伝えると、ウォードは悲しそうな表情をしながら、私の頬に触れてから顔を近づけてキスしてきた。
「そうね。こんな触れ合いはできなくなるわね。それでも、私はウォードに生きて欲しいの。だから私のワガママを許して欲しいの……、ダメかしら?」
「ズルい言い方だよ……、セナを失ったばかりなのに、パミュルまで……」
私の言葉を聞いた後、ウォードは涙を流して下を向いてしまう、私は胸元に抱き寄せて声をかける。
「私は居なくならないのよ?常に一緒に生きていくの。心臓の鼓動が止まるまで……、ウォード愛してるわ」
「パミュル……」
私はキスを交わした後、遂にウォードと愛を確かめ合うという望みがかなったのだった。
28
お気に入りに追加
117
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!

異世界に転生したので裏社会から支配する
Jaja
ファンタジー
スラムの路地で、ひもじい思いをしていた一人の少年。
「あれぇ? 俺、転生してるじゃん」
殴られた衝撃で前世の記憶を思い出した少年。
異世界転生だと浮かれていたが、現在の状況は良くなかった。
「王道に従って冒険者からの立身出世を目指すか…。それとも…」
そして何を思ったか、少年は裏社会から異世界でのし上がって行く事を決意する。
「マフィアとかギャングのボスってカッコいいよね!」
これは異世界に転生した少年が唯一無二の能力を授かり、仲間と共に裏社会から異世界を支配していくお話。
※この作品はカクヨム様にも更新しています。

チートな嫁たちに囲まれて異世界で暮らしています
もぶぞう
ファンタジー
森でナギサを拾ってくれたのはダークエルフの女性だった。
使命が有る訳でも無い男が強い嫁を増やしながら異世界で暮らす話です(予定)。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる