俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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第四章 帰郷編

第53話 胸の違和感

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 俺は水トカゲの首を刎ねると、直ぐにパミュルの元へと駆け寄っていく。

「パミュル!」
「っ、ウォード……具合はどうなの?」

 俺を庇って怪我をしたのに、自分のことより俺の具合を気にしていた。

「ごめん……、僕を庇ったから怪我を」
「大丈夫よ。私には〚自己回復〛があるから少しずつ回復するの。それよりウォードの体調はどうなの?何があったのか教えて欲しいの」

 俺もなにが起こったのかは理解してない。どう説明すれば良いのか判らないけど、判ってる範囲で説明することにした。

「水トカゲの首を刎ねようとした時、突然胸に痛みが走って動けなくなったんだ。これまでこんな症状は1度もなかった。今は胸に痛みはないからどうか安心して欲しい。僕から言えることはそれだけだよ」
「本当に胸の痛みはないのね?」
「うん、大丈夫だよ」
「そう、良かったわ」

 パミュルが念を押すように確認するので、俺は大きく頷いてから『大丈夫』と応えると、安堵の表情を見せてから胸に抱き寄せた。

「でも、しばらくは戦闘に参加しないで私達への指示に専念して欲しいかな?」

 ハリエットも少し不安な表情をしながら、戦闘を控えるように言ってきた。確かに胸の痛みが出ると、戦闘で迷惑をかけることになるので、言われた通りに指示役に専念することにした。

「うん、戦闘では指示に回るね。ヤンカー領に着くまで異常がなければ、その時は戦闘に復帰することにするね」
「それだけじゃダメです。ヤンカー領に着いたらちゃんとした医師に見てもらって、問題がないと言われないと復帰は認めませんからね」

 俺が復帰の条件を言うと、メルローズは医師の診断で問題がないことが条件だと言った。それにはパミュル達も頷いたので、これは決定事項となった。

(どうかこのまま異常が出ませんように。そして身体に問題がありませんように……)

「復帰の条件は了解したよ。ヤンカー領まではみんなで僕を守ってね」
「「OK!」」
「それじゃ、水トカゲを解体して魔石と素材を回収しちゃうよ」

 その後は、水トカゲを解体して巨大な魔石と、牙や鱗などの素材を大量に回収してから、家馬車ルーロットへ戻って体を休めた。

§パミュルの不安§

 水トカゲとの戦闘中にウォードが倒れた。胸を押さえて苦しむ様子を見た時は生きた心地がしなかった。

 幸い痛みは引いたというので、しばらくは戦闘に参加せずに指揮に専念することになった。このまま異常が出ないことを願いたい。

 でも、妙な胸騒ぎがして仕方ない、ウォードに異常が起こらないことを祈りながら、様子を見守ることしかできなかったの。
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