俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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第四章 帰郷編

第51話 泉の主③

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 みんなが願いごとを叶える為に必死に釣りに挑んでいる。現在のトップは俺なんだけど、4人が『女の戦いだ』と言って俺の記録は除外された。そんな女の戦いのトップはサーシャで、そろそろ日が傾く頃いてきたから、このまま決着するかと思った。

「悔しいけど、ウォードとメルローズが釣り終えると終了つてことになるわね」
「「はい……」」
「はーい!」

 パミュルが釣り大会の後のことを考えて、俺とメルローズが竿をあげれば終わりだと告げると、現在トップのサーシャ以外は渋々了承した。

 そんな時、俺とメルローズの2人同時に引きがきた。今までに強い引きに思わず竿を持っていかれそうになったけど、2人とも強く握って竿を引き寄せていく。

「これは大きいぞ!」
「私の方もかなり大きいみたいです。これなら私の優勝になるかも!」

 互いに糸が切れないように引き寄せていくと、『ピン』と張りつめた糸が同じ方向へ近づいた。ただ、あまりにも引きが強すぎて、釣り上げることは無理だと思ったその時、向こうから泉を飛び出してきた。

『ザバァーーン!』

「えっ……」

 泉から現れたのは水トカゲで間違いないけど、通常の大人で2m程度だと本には書かれていたのに、目の前にいるソレは5mはある巨大な水トカゲだった……。

「グウォーーーゥ!」

 まさか、こんな大物が現れることは想定外で、武器は俺が持ってるだけだった。

 陸にあがった水トカゲは、俺達を威嚇して今にも襲いかかって来そうだった。この状況で戦うしかないので、俺は咄嗟に思いついた作戦をみんなに伝えて、水トカゲを討伐することにした。

「パミュルは僕の防具に変化ね。僕が前で注意を引き付けるから、サーシャさんは植物魔法で拘束をしてみて、ハリエットは隙を見て魔法で攻撃してね。メルローズは拘束が無理な時に、重力魔法で動きを鈍化させて欲しい。頼んだよ!」
「「OK!」」

 指示を出し終えると、パミュルは俺に抱き着くとそのまま鎧へと変化すると、俺にだけ聞こえるように話しかけてきた。

「ウォードと1つになるは久しぶりね?」
「う、うん」

 俺が返事に困ってると『クスッ』と笑う。相変わらずパミュルの冗談は心臓に悪い。

 俺が刀を構えて水トカゲと対峙すると、サーシャが植物魔法で拘束を試みた。

「いきます!〚拘束バインド〛!」

 水トカゲの足元に生えていた草が、一気に伸びて体を包むように拘束して動きが止まると、隙ができるのを待っていたハリエットが、土魔法で攻撃をしかけた。



「ナイスだよ。〚石弾ストーンバレット〛!」
『ガッ、ゴッ、ゴン!』
「ギシャーーーッ!」

 頭部に石弾が当たると、その痛みから激しく体を動かすと拘束していた草が根元から抜けていって、拘束から抜け出しそうになった。

「メルローズ、重力魔法で鈍化させるんだ」
「はい、〚重力グラビティ〛!」

『ズズン!』
「グェッ、グルァーー!」

 拘束から完全に抜け出す前に、重力で押し付けられ頭が地面に着いた。

 俺はこのチャンスを見逃さず、水トカゲの首を刎ねる為に刀を振り上げて一気に近寄ったのだった。
 

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