俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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第四章 帰郷編

第48話 そして2人は……

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 家馬車ルーロットで車中泊をした翌日は、ハリエットの操縦で馬車旅が始まる。

 俺は家馬車ルーロットの内装工事に取りかかる。先ずはキッチンからで、料理をするのに部屋内で焚き火という訳にはいかないから、俺が考案した魔導コンロを置けるスペースを確保すると、ぽっかり空いた場所を不思議そうに見ながらパミュルが質問してきた。

「そこはスペースには何か置くの?」
「あぁ、部屋の中だと焚き火は使えないでしょ?だから魔石を燃料にした魔導コンロを作ったんだ。まだ試作段階だけど、少しずつ改良していく予定なんだよ」

 俺が魔導コンロの話をすると、どんな物か想像がつかないみたいなので、魔法鞄マジックバッグから魔導コンロを取り出して、どんな物かを説明することにした。

「このスペースにこの魔導コンロを置くんだよ。使い方はここに魔石を入れると、魔力が伝わって銅線が発熱するんだよ。ほら、手をかざしてみて」

 パミュルは怖々魔導コンロに手をかざすと、熱を感じたのか驚きの声をあげた。

「あっ、温かいわ」
「あまり近づけないでね?かなりの高温になるから火傷するからね。ここに鍋を置くと熱が伝わってお湯が湧くからね」
「これは凄いわね!画期的なじゃない!」

 パミュルが興奮気味に声をあげたので、サーシャとメルローズが俺達の元へやって来て、メルローズがパミュルに話しかけた。

「大きな声をだしてどうしたんですか?」
「ウォードが開発したこの魔導コンロという魔導具が凄いのよ!」
「魔導コンロ?」

 メルローズが首をかしげているので、パミュルが俺から聞いた内容を自慢気に説明をすると、2人ともパミュルと同じように大きな声で驚いた。

 魔導コンロの説明をしたりして、この日の作業はほとんど進まなかった。日が傾いてハリエットが家馬車ルーロットを停めると、一目散に俺の元へやって来てキスをしてきた。

「ウォード~、凄く操縦しやすかったよ」
『チュッ』
「わっ、ハリエット!?」

 昨日のパミュルは頬だったのに、ハリエットは思い切り抱き着いてきて口にキスをした。

「ちょっと、ハリエット!私は頬だったのよ?」
「それは、私の感謝の気持は頬では表しきれなかったんだもん」

 パミュルが文句を言うと、ハリエットは舌を出しながら持論を言った。その様子を見ていた2人が同時に口を開く。

「「私達に馬車の操縦を教えてください!」」

 いったいこの2人は何を考えているのだろう?まさか操縦をしたらお礼とか言ってキスをしてくるつもりなのだろうか?

 実際に次の日からは、2人が御者席に座ってパミュルやハリエットから操縦方法を教わったのだった。

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