俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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第四章 帰郷編

第44話 2人の転生者

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 パミュルの一言で、俺とパミュルの秘密について話すことにした。信じるかはサーシャとメルローズに任せる。

「えっと、僕とパミュルは前世の記憶を持って生まれてきた転生者なんだよ。僕はウォード.レーカー、パミュルはパミュル.レーカーと言って、親子関係だったんだよ」
「「えっ?」」

 2人は驚きのあまり声が出なかった。俺はそのまま話を続ける。

「僕はイナモンナ村の農家の5男として転生して、パミュルはタレビサ町にあるスライムの穴と呼ばれるダンジョンで、スライムとして転生したんだよ」
「「えっ……」」
「あの~、パミュルさんのどこがスライムなんですか?どう見ても人じゃないですか」
「言葉だけじゃ判らいわよね。〚解除リリース〛」

 驚いた後に、サーシャがパミュルの事を見ながら話しかけてきた。するとパミュルが本来の姿である黄金色のスライムに戻って、2人に話しかける。

「これなら信じるでしょ?私は人ではなくスライムなのよ」
「そんな、パミュルさんが魔物だったなんて……信じられない」

 サーシャはショックで何も言えず、メルローズもスライムの姿を目の辺りにしてもなお、信じられないと口にした。

 そんな2人に対してパミュルは、俺を産んだ直後に死んだ時に『俺に会いたい』という強い願いから、黄金色のスライムに転生した事を伝えた。俺も産まれてからスタンピードで死んでしまうまでの過程を話して、死に際に〚幸運〛を授けて欲しいと願ったら、農家の5男として転生したと伝えた、そして、前世で愛しあったセナと、ゴブリンとの戦いで瀕死の重症を負った時に、治療してくれた前世の妹ラミュルの元気な姿を、ヤンカー領で一目でいいから確認したい事を説明した。

「2人にそんな事があったなんて、ここまで詳細に説明されると信じることができました」
「私も信じます。あの時パパが言ったパミュル.レーカーは前世のパミュルさんだったんですね」
「ふふっ、今の私はスライムのパミュルだから別人だったでしょ?」
「はい、確かに別人でしたね。でも、全く動じないなんて……凄い」
「女としての経験を積むとあの程度のことでは動じないのよ」

 メルローズも俺と同じように、パミュルの知らんぷりに驚いていた。この場に居るみんなが女の経験を積めば、パミュルのようになるのかと思うと、少し背筋が寒くなった……

 その後は2人とも、転生者である俺達のことを理解したうえで、一緒に行動をともにすると言ってくれたので、馬運商会で馬車馬を購入したら、ヤンカー領を目指してガレリアを発つ事にした。

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