俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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第四章 帰郷編

第39話 ミスの許されない速攻戦

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 ハリエットがゴブリン達へ向かって土魔法を放って注意をこちらへ向ける。

「こっちよ!〚砂かけサンドブラスト〛」
『パラパラッ』
「ギャギャッ」

 細かな砂がゴブリン達に当たると、俺の予想通りこちらに注意が向いた。そして向きを変えて俺達へ向かって突進してきた。

「ふふっ、ウォードの期待に応えないといけないわね〚風矢ウインドウアロー〛!」

『シュッ、シュッシュン!』
「グギャアアアーッ!」

 パミュルの放った風の矢がゴブリン達を次々と射抜いていく、射抜いたゴブリンは10体を越えたけど、5体ほどのゴブリンが風の矢をくぐり抜けて来たところを、サーシャが植物魔法で拘束する。

「〚拘束バインド〛!後は任せます!」
「了解!メルローズ落ち着いて行くよ」
「は、はい!」

 俺が刀で首を刎ねていくと、メルローズもゴブリンの心臓を一突きする。

「やぁーっ!」
『グサッ』
「ガッ……」

(初めての戦闘なのに落ち着いてるね。偉いぞ)

 俺が3体のゴブリンを、メルローズが2体のゴブリンを仕留めた事で全てを倒しきって、ミス1つも許されない速攻戦を見事に切り抜けた。

 そして、俺達は荷馬車の前で倒れてる男性の元へ向かう。出血が酷いように見えたので急いで止血をしなければ、命に関わる可能性があるからだ。

「大丈夫ですか?」
「済まない……助かったよ」
「初級ポーションしかありませんが、とりあえず飲んでください」
「あ、ありがとう」

 俺が男性にポーションを飲ませようとすると、馬車の扉が開いて中から少女が出てきて男性に近寄った。

「パパァー!」
「ダリア、無事で良かった……」

 出血箇所を押えて何とか止血の処置はしたけど、初級ポーションだけではどうにもならなかった。急いでガレリアへ戻るには、馬車の操縦をする必要があったが、パーティーメンバーに操縦できる者は居ない……

「直ぐに街へ戻りたいけど馬車を動かせない。僕とハリエットで街へ戻るからここで……」
「私は動かせます」

 少女が馬車を操縦できると言うので、街へと急いで戻って診療所へと向かった。

 かなり深い傷だったけど、俺の止血処置が良かったようで、なんとか一命を取り留める事ができたのだった。

 男性を診療所へ連れて来て無事な事を確認したので、俺達が宿へ戻ろうとすると、少女が礼を言いに駆け寄ってきた。

「あの、今日はありがとうございました」
「いいえ、偶然通りかかっただけだよ。それよりダリアちゃんが馬車を操縦できたから良かったよ。小さいのに偉いんだね!」
「うん!」

 俺はそう言ってダリアを褒めた後に頭を撫でると、頬を赤くしながらも笑顔で応えた。馬車の購入は別としても、馬車の操縦は習っておくべきだと思ったのだった。

「パパが早く元気になる事を祈ってるね。それじゃ、お大事にと伝えておいてね」
「うん、ありがとう!えっと……」
「あっ、僕はウォード、じゃあねダリアちゃん」
「ウォード兄ちゃん、バイバイ!」

 こうして、俺のリハビリ初日は無事に終えたのだった。

(うん、思ったより身体が動いたな~)
 
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