俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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第四章 帰郷編

第33話 装備屋にて

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 俺の療養期間が終了した翌日は、リバビリの一環として宿の外へ出て、メルローズの装備一式の購入と、馬車一式を扱う商会を覗いて、最後はハンター協会で適当な討伐依頼を見つける流れとなった。

 先ずはメルローズの装備を購入しに装備屋を訪れる。せっかくなので、ハリエットと俺の弓の弦を張り直しをしてもらう事にした。

「いらっしゃい!スピカ装備店へ、私は店主のスピカだよ」

 とても愛想の良い女店主さんが挨拶で出迎えてくれた。メルローズの装備一式を揃えるなら採寸もあると思ったので、女店主さんの装備屋を選んだけどとても雰囲気の良い店で良かった。

「おはようございます。連れの装備を一式揃えたいのですが、見繕ってもらっても良いですか」
「いいよ、そのお連れの方はどなたかな?」
「私です。騎士ナイトの天賦を持ってるので、それにあった装備をお願いします」
「OK!良い天賦を持ってるね。騎士ナイトなら槍と盾に鎧かな?直ぐに見繕うね」
「後は、この弓の弦の張り直しもお願いしたいのですが、よろしいですか?」
「OK!」

 俺とハリエットの弓を渡した後は、メルローズの装備一式を用意してもらった。

「筋力が低いから重い装備は無理だね。鎧と盾は軽量のアルミニウム製で、槍はスピアヘッドに貴重なミスリルをお勧めしたいけど、流石に高価過ぎて無理だから白銅辺りがいいかな?」

 スピカはミスリルを使った槍はかなり値が張ると言ったけど、予算なんて特に決めてなかったので、とりあえずスピアヘッドがミスリル槍との3点セットで値段を聞く事にした。

「予算は決めてないんです。そこそこ所持金はあるので、ミスリル製一式の値段だけても教えてもらって良いですか?」
「槍、盾、鎧の一式で金貨500枚になるよ。めちゃくちゃ高いでしょ?」

 確かに高いと思ったけど、買えない値段ではなかったし、メルローズの役に立つという事は、パーティーの役に立つという事だから、迷わずに購入する事にした。

「えっと、それを買います。支払いはこれで!」
「はっ、はい、毎度あり。そうと決まれば鎧の微調整をするから奥へ来てくれる」
「あっ、でも、こんな高価な物を本当に良いのですか?」

 メルローズは部屋の奥へ向かう前に、高価な装備を購入した事を気にして俺に声をかけてきたので返事をする。

「大丈夫だよ。パーティーメンバーの為に使う事に無駄なんて無いからね!」

 俺が大丈夫だと伝えると、パミュルがメルローズに近寄ってから耳元で何かを言うと、メルローズの背筋が『ピン』としたように見えた。

「じゃあ、調整してもらいなさいね」
「は、はい!」

 2人が奥に入ったのを確認してから、パミュルになにを言ったのか聞くと『うふふっ』と流されて教えてもらえなかった……

 メルローズが鎧の調整を終えて出てくると、スピカが装備の受け渡しの事で話しかけてきた。

「鎧と盾は直ぐに渡せるけど、槍だけはスピアヘッドをミスリル製の物に付け替えるから、早くても明日の朝になるけど大丈夫かな?」
「じゃあ、鎧と盾は今受け取って、槍は明日の朝に取りに来ますね」
「ありがとう。弦の張り替えと一緒に必ず仕上げておくからね」
「はい、よろしくお願いします」

 装備屋での予定をすべて終えたので、続いて馬車関連を取り扱う商会を目指した。

(それにしても、パミュルはメルローズに何を言ったのか気になるなぁ~)
 

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