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第四章 帰郷編
第28話 見過ごせない
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俺と担当者の話を聞いたメルローズは、驚きの表情をしながら俺の方へ顔を向けていた。
「適性を見極めてからと言ったけど、ホールに出た時にメルローズへ向けられた反応を見ると、この街に居るのは辛いだろうと思ったんだ。ただ、僕達のパーティーに入るのは、この街を離れる為の手段だと思ってくれても良いよ。そして、メルローズの進みたい道が見つかれば、ハンターを続けずにその道を進めば良いからね」
俺はあの場で感じて考えを変えた事と、いずれはメルローズのやりたい事を見つけて、その道を進んで欲しいと伝えた。
すると、驚いていた顔からは涙が溢れて泣き顔へ一変していたので、俺は慌てて涙を拭く為のハンカチを渡そうとすると、メルローズはハンカチを受け取らずに、俺の手を取って下を向きながら感謝を口にした。
「私の護衛を受けたばっかりに……大怪我を負う事になられたのにも拘らず、居づらい場所から逃げ出したい身勝手な私なんかを……どうして、そんなにも優しく出来るのですか?」
「困ってる人を助けるのは当然だし、メルローズだって親の身勝手な行動の被害者だ。僕はそんな人を見過ごす事はできないよ」
「あぁ、ウォードさんっ、わぁああっ……」
メルローズの言葉に俺の想いを伝えると、感情が抑えきれずに大きな声を出して泣き出したので、俺はメルローズを優しく抱き寄せて、気が済むまで胸を貸した。
手続きを終えて戻ってきた担当者も、気を利かせて部屋を出てしばらく落ち着くのを待ってくれたのだった。
メルローズは10分程で落ち着いて、『恥ずかしい姿を見せた』と謝りながら身なりを整えた頃に、担当者が戻って来たので手続きを進める。
「メルローズ様のハンター登録と輝煌星へのパーティー登録を済ませました。あとは、ウォード様にハンター協会から情報量の振込と、アストン準男爵様とメリル様からの振込がございました。全てウォード様のカードへ入ってます。こちらが明細書になりますのでご確認を」
「ありがとうございます」
メルローズの登録は無事に終わったのと、ハンター協会からは情報料が、師匠とメリルからは魔導具販売の分配金が、振り込まれていたようなので確認をする。
【情報料 タレビサ魔洞窟 金貨50枚】
【情報料 ルクンナ洞 金貨100枚】
【利益分配金 金貨150枚】
明細書を見て、合計300枚の金貨が振り込まれていた事に目を丸くして驚いていると、パミュルが明細書を覗き込みながら話しかけてきた。
「ウォード、どうかしたのって……凄い金額ね」
「うん、僕には多すぎるよ……」
世界を旅する俺達には大きなお金は必要ないので、いつか定住する時の為に蓄える事にする。メルローズがしたい事を見つけた時に、使ってもらうのもありかな?なんて思いながら、ハンター協会を後にして宿泊する宿へと向かった。
「適性を見極めてからと言ったけど、ホールに出た時にメルローズへ向けられた反応を見ると、この街に居るのは辛いだろうと思ったんだ。ただ、僕達のパーティーに入るのは、この街を離れる為の手段だと思ってくれても良いよ。そして、メルローズの進みたい道が見つかれば、ハンターを続けずにその道を進めば良いからね」
俺はあの場で感じて考えを変えた事と、いずれはメルローズのやりたい事を見つけて、その道を進んで欲しいと伝えた。
すると、驚いていた顔からは涙が溢れて泣き顔へ一変していたので、俺は慌てて涙を拭く為のハンカチを渡そうとすると、メルローズはハンカチを受け取らずに、俺の手を取って下を向きながら感謝を口にした。
「私の護衛を受けたばっかりに……大怪我を負う事になられたのにも拘らず、居づらい場所から逃げ出したい身勝手な私なんかを……どうして、そんなにも優しく出来るのですか?」
「困ってる人を助けるのは当然だし、メルローズだって親の身勝手な行動の被害者だ。僕はそんな人を見過ごす事はできないよ」
「あぁ、ウォードさんっ、わぁああっ……」
メルローズの言葉に俺の想いを伝えると、感情が抑えきれずに大きな声を出して泣き出したので、俺はメルローズを優しく抱き寄せて、気が済むまで胸を貸した。
手続きを終えて戻ってきた担当者も、気を利かせて部屋を出てしばらく落ち着くのを待ってくれたのだった。
メルローズは10分程で落ち着いて、『恥ずかしい姿を見せた』と謝りながら身なりを整えた頃に、担当者が戻って来たので手続きを進める。
「メルローズ様のハンター登録と輝煌星へのパーティー登録を済ませました。あとは、ウォード様にハンター協会から情報量の振込と、アストン準男爵様とメリル様からの振込がございました。全てウォード様のカードへ入ってます。こちらが明細書になりますのでご確認を」
「ありがとうございます」
メルローズの登録は無事に終わったのと、ハンター協会からは情報料が、師匠とメリルからは魔導具販売の分配金が、振り込まれていたようなので確認をする。
【情報料 タレビサ魔洞窟 金貨50枚】
【情報料 ルクンナ洞 金貨100枚】
【利益分配金 金貨150枚】
明細書を見て、合計300枚の金貨が振り込まれていた事に目を丸くして驚いていると、パミュルが明細書を覗き込みながら話しかけてきた。
「ウォード、どうかしたのって……凄い金額ね」
「うん、僕には多すぎるよ……」
世界を旅する俺達には大きなお金は必要ないので、いつか定住する時の為に蓄える事にする。メルローズがしたい事を見つけた時に、使ってもらうのもありかな?なんて思いながら、ハンター協会を後にして宿泊する宿へと向かった。
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