俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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第四章 帰郷編

第26話 メルローズの願い

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 俺が『力になれる事があれば、何でも言ってください』と伝えると、メルローズから返ってきた言葉は耳を疑う内容だった……

「では、遠慮なく言わせて頂きます。私をウォード様のパーティーへ加えて頂きたいです」

 どういう経緯で、俺のパーティーに入るという答えにたどり着いたのか?全く理解ができずに返事に困っていると、ハリエットとパミュルは『クスッ』と笑っていたけど、サーシャだけは俺と同じように驚いてた。

「あの~、私をパーティーへ加えるのは『何でも』には含まれませんか?」

 首を少し捻って質問するメルローズに、俺は首を横に振りながら答える。

「そうじゃないんです。そうじゃないんだけど」
「では、どういう事なのでしょうか?」
「僕たちは世界中を旅するハンターです。このガレリアも直ぐに去る事になります。移動が多くて野営ばかりでかなり過酷な生活になりますから」
「貴族として暮らしていた私には、そんな生活は無理だと思われるのですね。でも、この場所を離れられるのなら私には好都合なんです。だって、私は平民に落ちた哀れな者と言われるので……」

 ハンター協会で働いていたサーシャは、ハンターがどういうものか理解してると思ったけど、メルローズは貴族令嬢だから『はい、どうぞ』とは簡単に言えない。けど、言い分はよく判る……

「お嬢様がハンターになれるか不安なら、ウォードの傷が癒えたらリバビリが必要でしょ?その時に適性があるか見極めてみたらどうかしら?」

 パミュルが悩んでいる俺に、アドバイスをしてくれた。俺の考えだけで、パーティーに加える事を認めないのは身勝手すぎる。ここはアドバイス通りに適性を見極める事を選択する事にした。

「そうだね。僕のリハビリの時に、メルローズ様の適性を確認するのが良いね。それでよろしいですか?」
「はい!それから、『様』は不要です。私は平民となるので敬語も必要ありませんよ」
「では、僕の事も『ウォード』と呼んで欲しい」
「判りました。ウォードさん」

 メルローズをパーティーへ加えるかの問題は、適性確認する事で先送りになった。

 残る問題は俺の怪我の状態で、ハンター復帰がいつになるのか等を確認しないと、治療費や活動停止中は収入がないので色々と考えないといけないから、その辺りの事を聞いてみるとハリエットが答える。

「ねぇ、僕の怪我の具合はどうなの?ハンター活動への復帰はどれくらいになるの?」
「怪我は奇跡的に臓器に傷は無かったから、傷口が完全に塞がれば動けるよ。意識が戻ったから今日から私達と宿へ移れるからね」

 傷は〚幸運〛のおかげか深刻なものじゃなかったので、直ぐにでも宿へ移れるらしい。

「そうなんだね。宿へ行く前にハンター協会の受付へ寄らない?後は、メルローズはハンター登録はしてるのかな?」
「この後、一緒に向かって登録をします」

 この後は、服を着替えてからハンター協会の受付へ向かって、護衛の結果の報告と、メルローズのハンター登録をする事にした。
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