俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ（笑）

第四章 帰郷編

第23話 盗賊を討つ③

　盗賊達が駆け寄ってくると、俺は直ぐに指示を出して迎え討つ。同じ4人でもハリエットとサーシャは近接戦闘に向いてないので、真正面から戦うと不利になるからね。

「ハリエットとサーシャは距離を取ってサポート、土魔法で攻撃じゃなくて視界を奪って、その後に植物魔法で拘束して。僕とパミュルは守りながら拘束した奴から確実に仕留めるよ」
「「OK！」」

　盗賊のリーダーは手前で止まって、3人の取り巻きに指示を出す。

「パズとダインはガキを始末しろ。ペッコは女をできるだけ無傷で拘束だ」
「「へい！」」

　指示の後に2人の盗賊が俺に向かって来る。2人ともロングソードで左右ではなく、前後に並んでる為に後ろの1人がよく見えない。タイミングを見計らって後ろに隠れてる盗賊が、俺を仕留める算段なんだろうけど、同時に仕掛けられるより断然に戦いやすい。

「オラオラ！守るだけかよ？助けなんて来ねえんだ掛かって来いや！」

『キィン、キィン、ガキィン！』

　おそらく俺が前に出る瞬間が、後ろに控える盗賊の出番なんだろう。挑発してるつもりが作戦を漏らしてると判ってないようだったので、あえて前に出てカウンターの攻撃を仕掛ける事にした。

「判ってるさ。アンタの動きを見切る為にわざと攻撃を受けてたんだよ。はあっ！」

　いかにも攻撃をすると声に出してから、相手の剣を弾いて斬り掛かろうとすると、目の前の男は『バッ』と向かって左横に飛んで移動すると同時に、背後にいた男が剣を向けて俺を突き刺そうとした。

「死ねやっ！」
「お前がね！」

　予想通りの展開に、俺は身体を回転させながら右側に移動して突きを躱すと、そのままの勢いで刀を振り抜く。

『ズバッ！』
「がはっ……」

　斬れ味が抜群の絆の太刀は、アッサリと盗賊の胴体を通り抜けて、断末魔とともに上半身が地面に落ちた。

（よし、相手の動きが判れば怖くない！）

　俺を仕留めるつもりが、逆に仲間が殺られた事に驚く盗賊は一瞬動きが止まった。その瞬間をハリエットが見逃さずに土魔法で視界を奪う。

「〚砂サンド〛！」
「クソッ！目がっ！」
「ウォード君任せるね〚拘束バインド〛！」
「OK！」

　視界を奪った事に気づいたサーシャが、俺に声をかけながら植物魔法で盗賊を拘束したので、俺は身動きの取れない盗賊の首を刎ねた。

「まっ、待ってくれっ！」
『シュパッ』

　早々と2人の盗賊を討ち取って、パミュルの方へ目をやると、両手を盾に変化させて完全防御の体勢で相手の攻撃を防いでいた。

　パミュルへの攻撃に夢中になって、背後がガラ空きになっているので俺は投げナイフを投げる。

『シュッ』
『グサッ！』
「ぐぁっ……」

　背中にナイフが刺さった痛みで動きが止まると、その隙を見逃さずにパミュルは魔法を発動させた。

「終わりね。〚風剣をウインドウソード〛！」
「くそっ……」
『ザシュッ』

　気づいた時と同時に風の剣が首を刎ねると、そのまま首が地面に落ちた事で、残るのは盗賊のリーダーのみとなった。