俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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第三章 未知なる世界へ

第132話 デルポト市を出発する

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 前日の話し合いで決めた通りに、朝からハンター協会へ向かってアパートの解約手続きを済ませた。その後は、師匠とメリルに出発の事を伝えてからは、ノースホランを目指してデルポト市を出発する事になる。

 俺達が師匠の工房へ向かって出発する事を伝えに行くと、メリルが魔導具販売の打ち合わせに訪れていた。

(これは好都合だ。1度の説明で全てが済むじゃないか)

「おっ、ウォードじゃないか。大勢でお仕掛けてどうかしたのか?」

 普段は1人で訪れるのに4人で来た事を聞いてきたので、デルポト市を出てノースホランへ向かう事と、目的地が同じサーシャを連れて行く事を説明する。

「はい、僕達は今日でデルポト市を離れて、ノースホランを目指して旅立つ事にしました。こちらはサーシャさんもノースホランへ行くそうなので、一緒に向かう事になりました」
「えっ、おい?そんな急な出発なのか?」
「急な事で驚かせて済みません」

 いつかは離れると伝えていたけど、師匠はかなり驚いていたし、隣に居たメリルについては驚き過ぎて言葉を失っていた。

「いや、以前から聞いていた事だから、覚悟は出来ていたつもりだが、今日だと聞いて流石に驚いたぞ。そうか、夢を実現させる為に行くんだな。頑張って来い!そして錬金術師なる為に戻って来るんだぞ?」
「はい、頑張ってきます!ただ、錬金術師になる為に戻る事は約束出来ませんよ?」
「がははっ!引っ掛からなかった。がははっ、残念だぜ!」

 危なく『はい』と言ってしまうところだった。なんとか引っ掛かる事なく師匠との話しを終えると、メリルが寂しそうな表情をしながら話し掛けてきた。

「本当に急な話しで驚きました。以前の私なら『着いて行く』と言ったでしょうが、ウォードさんが開発された魔導具を、この街から世界へ広めるという目標があります。世界を旅されて灯りの魔導具の話しを耳にしたら、その時は私の事を思い出してくださいね」
「はい、大商人メリルと錬金術男爵アストンの名前を世界中に轟かせてくださいね!」
「いつかこの街へ、錬金術師として戻って来られる日を待ってますね」
「えっと、錬金術師として戻ってくる事は約束出来ませんからね?」
「ふふっ、引っ掛かりませんでしたね。ふふっ、残念です」

 まさかの2人連続で同じ事を仕掛けてくるとは……なんだかんだでこの2人は上手くやって行けそうな気がした。

 2人への挨拶を済ませたところで、俺達は工房を出てデルポト市から旅だと思って、最後にもう1度別れの挨拶をする。

「アストン師匠にメリルさん、今日まで本当にお世話になりました。2人との出会いが僕を大きく成長させてくれました。旅が終われば必ず顔を出しに来るので、それまでお元気で!」
「おぅ、お前との出会いが錬金術師として、さらなる高みを知る事が出来たことに感謝してる。そうだ、これを餞別としてお前にやるよ」

 俺は師匠から魔導具を受け取って、手に取って確認をしてみる。

「これは?」
「それは俺の自信作の魔法天幕マジカルテントだ。4人なら十分に入れる広さがあるから、旅で役立つだろう」
「凄いですね!ありがとうございます」

 俺は師匠から貴重な魔導具を受け取って後は、2人に見送られながらデルポト市を出発してノースホランを目指す旅に出た。
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