俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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第三章 未知なる世界へ

第128話 魔導具の製販会議

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 近いうちにデルポト市を離れると決めた翌日からは、積極的に動いて準備を整えていく。

 先ずは、アストン師匠とメリルの顔合わせをして、灯りの魔導具を販売する打ち合わせをする。

 俺は工房へ向かう前にメリルの店に寄ってから、2人で話をしながら移動する。その時、近いうちにデルポト市を離れる事と、俺が開発した魔導具を販売して欲しいと頼んだ。

「そうですか……この街を離れるんですね……」
「錬金術を学ぶ為に訪れたし、鬼の棲家へは入れなくなりましたからね。でも、錬金術の修行では予想以上の成果を得られました。作った魔導具を販売してもう伝手も見つかったし、デルポト市を訪れて本当に良かったです」
「私もウォードさんに会えて良かったです。本当はもっと親密な関係になりたかったけど……」
「ははっ、その話はもう済んだでしょ?」
「はい、なので大切友人が開発した魔導具を、頑張って販売させてもらいますね!」
「よろしくお願いします」

 話しが終わる頃には工房へ着いて、そこからは3人で製造と販売について話し合う。

 製造に関しては、日頃の作業をしながらの製造になるのと、作業に慣れるまでは1日の製造は1つで、慣れても3つが限界という事だった。

 販売については、少量販売はデメリットが多いので、製造した魔導具の1週間分を取りに来てから、まとめて販売する事になった。

「販売価格なんですが、魔石で発光させる物で金貨2枚が相場になってます。製造コストはかなり高いのですか?」

 製造数と販売方法が決まった後に、メリルから販売価格の事を聞かれた。これに関しては俺は無知なので話しには加われない……

「ハッキリ言えば殆ど変わらないんだ。コイツが術式の簡略化に成功したから、1番時間のかかる作業が短縮出来たからな」
「この性能の物を金貨2枚で売れば他の物は売れなくなりますね」
「最低でも金貨4枚辺りが無難だろうな?頃合いを見計らって簡略化した術式を公開すれば、他の物も少しは値下げをするだろう」
「それでは、私の方は金貨4枚で販売させてもらいますので、仕入れ値は金貨3枚で良いでしょうか?」
「構わない。俺は利益の半分をウォードに渡すがが異論はないな?」

 2人の話し合いの最後で、俺に利益の一部が入ってくるなんて事になっていた。俺は製造も販売もしないのだからそんなお金を貰うつもりはなかったので、受け取る事を拒んだ。

「いや、僕は貰う訳にはいきませんよ。開発しただけで後は2人に丸投げなんですから」
「はぁ~、この魔力変換の術式と、発行の術式の簡略化を閃いただけでとんでもない事だ。俺にその名誉を丸投げにするんだから、対価くらいは受け取れ!」

 俺が拒むと師匠は呆れ顔になっていた。今回の件も師匠が開発した事にしてもらうので、迷惑料として利益を受け取ってもらう予定が狂ってしまった。ただ、俺が受け取らなければ製造しないと言われると困るので、利益を受け取る事を受け入れるしかなかった。

 これで、灯りの魔導具の事は全て解決したので、後はハンター協会で精算をすれば、いつでもデルポト市を出発する事が出来るようになった。



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