俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

文字の大きさ
上 下
171 / 363
第三章 未知なる世界へ

第121話 幸運の真価

しおりを挟む
「はぁ、はぁ、はぁっ……」
「ぐっ、おまえ、未来が見えるのか?」

 俺は大鬼オーガの攻撃を回避し続けた。〚幸運〛を使った事で感覚で危険を感じ取れて、ギリギリで躱す事が出来た。

 そして、躱し続けられた事に苛立った大鬼オーガは、俺に判る言葉で話し掛けてきた。魔物が人の言葉を話すとは思わなかったので、流石に驚いてしまった。

「未来なんて見えないよ。それより人の言葉を話せるんだね」
「上位の種族はお前の人語を理解している。未来が見えないお前の能力で、俺の攻撃を躱せる意味が判らんなっ!」

 喋り終えた瞬間に斬撃を飛ばしてきた。『チリッ』とした感覚で危険を教えてくれるので、なんとか躱す事に成功をする。大鬼オーガは完全に不意をついたと思ったのに、躱された事に驚きを隠せない。

「間合いを詰めて連続攻撃の力押しをすれば、非力なお前では躱しきれないだろう!」

 言葉と同時に間合いを詰めてくる、確かに力押しされると打撃を受け止めれば、非力な俺は体勢を崩して押し切られる。でも〚幸運〛からは嫌な感覚が伝わってこなかった。

(ハリエット達がゴブリンを倒し切ったのか!ならやる事は1つだね)

 力任せに大太刀を振り降ろす大鬼オーガの初撃を躱して、俺は少しずつ移動する。あからさまに移動すると気付かれる恐れがあるので、ゆっくりと少しずつ躱しながら移動して、俺の思ってるポイントに着いたので、わざと大鬼オーガの大太刀を受け止めて、体勢を崩したフリをした。

(2人の事を信じてるよ……)

§ハリエットの視点§

 私達がゴブリンを倒し切って、直ぐにウォードと大鬼オーガの戦いに目を向けると、ウォードは無傷で攻撃を躱し続けながら、少しずつ大きな岩へと移動していた。

 遥かに格上の大鬼オーガを相手に、全ての攻撃を躱しながら、意図して大きな岩へと移動する程の余裕があるのかと、私は驚きを隠せなかった。

「ハリエット、ウォードは大鬼オーガの隙を作ろうとしてるわ。特製の矢を射る準備をして!私は魔法の詠唱を始めるわ」
「OK!私は胸を狙うから、パミュルは足下をお願いね」
「OK!失敗は許されない。確実に当てるわよ」

 私とパミュルはいつでも攻撃が出来る準備を整えながら、ウォードと大鬼オーガの攻防を守っていると、ウォードが少し体勢を崩した。

 大鬼オーガがチャンスと思って、大太刀を思い切り振り下ろす。ウォードは流体金属の篭手を前に出して両手で支えるように受け止めた。

『ガキィーーン!』

 受け止めはしたけど、力の差は歴然で衝撃を受け止めきれずに地面に叩きつけられた。大鬼オーガは勝利を確信したのか、大太刀を思い切り上段に構えて『ニヤリ』と笑みを浮かべていた。

「ぐはっ……くそっ!」
「よく頑張った。これで終わりだ!」

 ウォードが痛みに耐えきれず声をあげると、隣のパミュルが泣きそうな表情で魔法を放った。私も続いて矢を射った……

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...