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第三章 未知なる世界へ

第92話 ウザくて結構ですよ

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 猛ダッシュで近寄るメリルに『はぁ~』と思わずため息をつく。ハリエットとパミュルは普段の穏やかな表情は消えていた。

「ウォードさ~ん!お帰りですか?私も店番が終わったところなんですよ!ご飯でも食べに行きませんか?」 
「ダンジョンから戻って疲れていて、アパートへ戻ってゆっくりするのでお断りしますね」
「あっ、私が食事を作りますよ?」
「僕だけの部屋ではないので、メリルさんを入れる訳にはいきません」
「そうですか……」

 今回はハッキリと断ったので、少し『シュン』としたところで申し訳ないけど、伝えておかないといけない事があるので伝えておく。

「前にも言ったのですが、町中で大声で叫ぶのは止めて欲しいんですよ。周りの方にも迷惑だし、僕もあんな大きな声で名前を叫ばれると、恥ずかしいので勘弁してください」
「ご、ごめんなさい」

 ちょっとダメ押しみたいに言ったので、少し可哀想な気もするけど、少しでも甘く接すると、同じ事を繰り返す気がしたので心を鬼にした。

「じゃあ、アパートまで送っていきますね」

 気落ちしてたかと思ったけど、直ぐにいつものメリルに戻っていた。この人のメンタルはどうなってるんだろう?打たれ強いというか超回復機能が付いてるんだろうね。

「アパートへ帰るだけだし、僕には2人の連れが居るので送ってもらわなくても大丈夫ですよ」

 俺がハリエットとパミュルを強調すると、2人とも察してくれたようで、両サイドから俺の腕にしがみついてから『ニッコリ』とした笑顔をメリルへ向けた。メリルは少し焦った顔になり2人へ話しかけた。

「うっ、2人はウォードさんの保護者では?」
「保護者ではなくとても大事な人ですよ」

 2人ではなく俺が真顔で答えた。
 俺の言葉を聞いたメリルは『ガクッ』とうなだれながら小声で呟いたけど、俺達にはハッキリとその声は聞こえた。

「チッ、ババアが好きなのかよ……うぜぇ」

 俺を悪く言うのは気にならないけど、2人の事を言われると『イラッ』としたので、メリルに対して俺の想いをハッキリと言った。

「ウザくて結構ですよ。これは僕達の問題で、メリルさんには関係ないですからね。ハリエットとパミュルの事を知りもしないアナタに、とやかく言われる筋合いはないですし、僕に勿体ないくらいに魅力的で素晴らしい女性ですからね」
「それなら私の事も知らないじゃない!」
「だって、知りたいと思ってないんだから必要ないでしょ?僕から見て魅力的に感じていれば、アナタの事を知ろうとしたけど、そうは思わなかったんですよ」
「くっ……」
「疲れてるので失礼しますね。サヨウナラ」

 何も言い返せないメリルを放っておいて、俺達はアパートへと帰っていった。

 


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