俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

文字の大きさ
上 下
126 / 363
第三章 未知なる世界へ

第76話 メリルとの再会

しおりを挟む
 デルポト市はこれまで訪れた街と比べるとその大きさに圧倒されるものだった。

 街の作り方はニ重構造で俺達が通った門は高さ3m程でそれと同じ高さの壁が正方形の形でデルポト市の全てを囲んでいた。
 壁には東西南北それぞれに門があって、デルポト市内への入場門になってる。
 入場門から街の中心へ向かってメイン通りがあって、通りを進んで中心へ向かうと5mを越える立派な壁が現れる。
 この壁の向こうには、デルポト市を統治するデルポト侯爵邸や、その他の貴族に大金持ちの有力者達が暮らしてるので、かなり厳しい入場審査があるらしい。ド平民な俺には無縁の場所なので、その壁を越えることはないだろう。

 俺達は南門から市内へ入ってから、大きなメイン通りを『キョロキョロ』しながら歩いていた。

「田舎者ってバレちゃうから恥ずかしいけど、これだけ大きいな街だと仕方ないね」
「うん、町や村しか知らなかったから、見るもの全てが新鮮だもんね(笑)」

 俺とハリエットは初めての都会に舞い上がっていると、パミュルだけは冷静だったので、前世で都会暮らしをしていたのか聞いてみた。

「パミュルは驚いてないけど、都会で生活した記憶があるの?」
「前世で私の実家は小さい商店を営んでいたけど、何度か王都へ行った事があったから驚く事はないわね」
「僕達は初めてだから興奮しちゃうよ(笑)」
「私も初めて王都へ行った時はそうだったから仕方ないわよ(笑)」
「でも、私は人の多さに酔いそうだよ。早く落ち着きたいかな?」

 ハリエットが人混みに酔いそうだと言ったので、ハンター協会へ急ぐ事にした。

「確かに、この人の多さは慣れないと落ち着かないよね。直ぐにハンター協会へ寄って、パミュルのハンター登録と借家を紹介してもらい行こうか!」
「「そうだね」」
「あっ、ハンター協会の看板の【剣と盾】は世界共通だからね!」

 ハリエットがハンター協会の看板は世界共通だと教えてくれた。流石は元ハンター協会の受付と言ったところだね。
 そこからは【剣と盾】の看板を探しながらメイン通りを進んでいると、知らない街なのに俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。

「ウォードさ~ん!ウォードさ~ん!」
「あっ、行商の娘さんじゃない?」

 ハリエットに言われて思い出した。
 そう言えば、メイン通りに店を出してるから寄ってくれて言われてたな(笑)

「はぁ、はぁっ、無事に着かれたんですね!」
「これでもハンターなので」
「着いて直ぐに店を探してくれたんですね!嬉しい~♪」

 メリルは嬉しそうな顔をしながら俺の手を握っていた。

「えっと……今日はハンター協会で連れのハンター登録と、暫く滞在するので借家を紹介してもらおうかと」
「えっ!滞在するんですか?期間は?」
「錬金術を学びたいと思ってるので、3カ月位になるかな」
「よしっ、あっ、私はデルポト市に詳しいので色々と案内しますよ!」
「えっと……ハンター活動をしてるので余り時間がないかと(汗)」

 軽く断ったつもりが、メリルは気にせず『グイグイ』と来る……

「メリルさん、今日はハンター協会に用事があるので失礼しますね」
「あっ、はい!ハンター協会はこの先の右側ですから直ぐに着きますよ」
「ありがとうございます。さようなら」
「待ってますね~」

 何とかメリルとの会話を終わらせて、ハンター協会へ向かう事が出来たのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。  そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!  気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?  するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。  だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──  でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...