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第三章 未知なる世界へ

第55話 エビとの遭遇

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 川の流れの音がする方へ進んで行くと、更に冷気が強くなって肌寒く感じる。

「こんなに寒いとは思いませんでした。次に来る時は上着を用意しましょう」
「そうだね。奥へ進むともっと寒くなるのかな?」
「これ以上に寒くなるなら、マッピングを中止して帰る必要がありますね」

 想像以上の寒さに低体温症になるかも知れないので、戻る事も視野に入れながら進んで行くと、『バシャッ!』と水を叩く音がしたので音のする方向へ顔を向けた。

『ガチッ、ガチッ』

 両腕の先が30cm程のハサミを持つ、エビの姿をした赤黒い魔物が現れて襲って来た。体長はハリエットさん程で動きは速くはないので、距離をとる事は簡単なので少し離れてから指示を出す。

「動きは遅いので焦らずに距離を取ってから弓で攻撃しましょう。一応、俺に注意を向けるのでお願いします」
「OK!遅いとはいえ気をつけてね」

 俺は剣を構えて、エビの意識をハリエットさんに向かないようにする。エビが俺に向かって動き始めたので、ハリエットさんにアイコンタクトを送ると頷いた後に、特製の矢を射ってエビの頭を撃ち抜く!

『バシュッ!』「キシィ……」

 エビの甲殻はムカデ程の硬度はなく、特製の矢は簡単に貫通してエビは絶命して消滅した。俺は魔石を回収してから、特製の矢を矢を回収したハリエットさんに近寄ってからハイタッチをする。

「やりましたね!」
「エビは問題ないね~♪」
「次は腹部が弱点なのかを検証したいので、頭、背中、尻尾と順に衝撃インパクトを与えて仰向けになるのか様子を見ましょう」
「OK!カニなら弓からだね」
「はい」

 次の事を少し話し合ってから、川を目指して進むと小さな川が見えたので、川は右か左へ流れてるので下流目指す事にした。川沿いに沿って左側へと進んで行くと、足元が足首辺まで水に浸かっていた。冷気があるうえに足元が水浸しでは体温調整が難しくなりそうなので、引き返して右側を進む事にした。

「左は防寒対策をしてから進みましょう」
「OK!1日でマッピングは終わらないから、そのあたりは気にする必要はないね」

 改めて川沿い右側へ進んで行くと、川は大きな壁の下へと姿を消した。そこから先は上層と変わらないダンジョンで、冷気も和らいで低体温症の心配もなくなった。水っ気がなくなると、エビやカニは現れないのかと思いながら進んでると、『ズッズズゥー』と地面を擦るような音が聞こえた。

「何か動く音が聞こえるますね」
「魔物が移動する音かな?」
「その可能性が高いですね。注意を払いながら進みましょう」

 前方を注意しながら前へ進むと、赤黒い物が動くのが見えた。エビが尻尾を擦りながら移動する音なのだと判った。

『ズズゥ……』

「見えましたね。話した通りに頭から順に魔法で衝撃インパクトを与えてくださいね!」
「うん、やるね!〚石弾ストーンバレット〛!」

 ハリエットさんの放った魔法が、エビの頭に直撃したけど前のめりになっただけ。エビがハリエットさんに向かって動いたので、俺は注意を逸らす為にエビに近づき、軽く音を鳴らして注意を俺に向ける。
 次は背中に魔法を当てるもエビには全く反応がない。次の尻尾でダメならとりあえず弓で仕留めて作戦を練り直す。

「次の尻尾がダメなら僕が弓で撃ち抜きますね」
「うん、〚石弾ストーンバレット〛!」

 エビの尻尾に魔法が当たる。

「キィシャアアアアア」

 今までない激しい反応でのたうち回って、仰向けになり『バタバタ』と脚をバタつかせていた。俺はその隙を見逃さずに甲殻のない胸元へ剣を刺すと、魔石と肉片を残して消滅した。

 エビの弱点が判った。上層ではダンゴムシがそうだったけど、多く出現する魔物は明確な攻略方法がある。そう考えるとカニはムカデと同様に、一筋縄ではいかないかも知れないね。

 
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