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第三章 未知なる世界へ

第54話 ルクンナ洞の下層へ

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 ムカデを正攻法で討伐してからルクンナ村へ戻って、ハンター協会出張所で精算と、1週間の宿泊延長を手続をしてもらった。食材を購入してから部屋へと戻って夕食と風呂の準備をする。

 食事の時は、明日からルクンナ洞の下層へ進むので、その事について話し合った。

「下層は川が流れているのと、一部が水浸しになってる感じなので、降りる前に防水ブーツに履き替えましょう」
「OK!魔物の対応は何か決めてるの?」
「最初は様子を見たいのですが、先ずはハリエットさんの弓で攻撃して、特製の矢が効くのか確認しますね。その後は矢に頼らなくても倒せるのか検証しますね」
「OK!最大の武器が通じるか判らないと、戦い方を決めれないもんね」
「明日からは全く違う状況での戦闘になるので、しっかりと体を休めておきましょう」

 食事と話合いが終わったので、ハリエットさんが後片付けをしてる間に俺は風呂へ、湯槽に浸かって1日の疲れを癒やしてると、母さんがピアスから人型になってそのまま俺に抱き着いた。

「シー、気づかれるでしょ?」
『コクッ』
「ふふふっ、母さんが癒やしてあげる♪」

 その後は、湯槽に浸かりながら母さんに身も心も癒やしてもらってから風呂からあがった。

「ウォードが長湯って珍しいね」
「あ、うん、ゆっくりと浸かるのも良いもんだね」
「おー♪お風呂の良さが判ってきたのね」
「そうですね。ハリエットさんも温かいうち入ってくださいね」
「はーい」

 適当にごまかしてると、母さんが耳元で囁いた。

「もっと上手に嘘をつかないと、きっと気づかれちゃったわよ(笑)」
「ま、まさか?」
「明日の朝には判るわよ(笑)」

 意味深な言葉を言われて『ドキッ』としたけど、翌朝になって母さんの言った通りだったので、朝からハリエットさんに癒やしてもらった。

 俺の〚幸運〛は女性運にも効果があるのなら、ミリムにはどうして効果が出なかったんだろう……離れる事が〚幸運〛になる為に必要だったのかな?そんな事を考えてると、久し振りにミリムの笑顔が脳裏に浮かんだ。『ミリム、元気してるのかな?』

 朝食を済ませた後は、装備等の持ち物を確認してからダンジョンへ向かう。今日からルクンナ洞の下層をマッピングするので、2人とも気合十分で上層を進んでいく。現れたダンゴムシは、俺とハリエットさんで交互に特製の矢で倒していった。そのまま下層へ降りる道を目指してると、『ガサガサ……』とムカデの移動する音が聞こえたので、昨日と同じ作戦で挑んだ。

「昨日と同じで、連射攻撃で行きます!」
「OK!」

 ハリエットさんがムカデの頭へ特製の矢を直撃させると、前回と同じように動きが一瞬止まる。俺は続いて頭へ連射の一矢を放つと頭に突き刺さって、魔石と尻尾を残して消滅した。

「普通に尻尾が出ますね(笑)」
「レアドロップって聞いてるけど、ウォードが居ると通常ドロップみたいだね(笑)」

 笑いながらドロップを回収した後は、防水ブーツに履き替えてから下層へと降りていった。

 下層へ降りると『ヒヤッ』と冷気を感じたので周りを確認すると、川の流れのような音が聞こえてきた。とりあえず音のする方向へ進んでマッピングを開始した。


 
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