俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ（笑）

第三章 未知なる世界へ

第12話 ウォードの真実

　俺達はダンジョンから出て借家へ戻る前に、ハンター協会で精算をしてもらう。

「こんにちは、魔石とドロップが出たので買取りをお願いします」
「はい、かしこまりました。ドロップはこちらへ提出してくださいね」　

　俺は魔石を20個とドロップアイテムの指輪、短剣、腕輪を提出する。

「3つもドロップが出たんですね。直ぐに鑑定しますからお待ち下さい」

　俺は鑑定メガネで事前に鑑定したので、価値は判ってるんだけどね。

「お待たせしました。3つとも宝飾アイテムで、紅玉の指輪は金貨20枚、碧玉の短剣も金貨20枚、細かな金細工の腕輪は金貨50枚の合計金貨90枚になります。最後に魔石は銀貨20枚です」
「全て買取でお願いします」
「はい、こちらが精算代金になります。ご確認のうえこちらへサインをお願いします」
「ありがとうございました」

　俺は渡された硬貨を確認してから書類にサインをしてから、書類を渡して協会を後にした。

　帰り道で夕飯の食材などを購入してから借家へ着くと、2人は夕飯の準備よりも落とし穴であった事を聞きたいと言うので、俺が転生者である事や落とし穴で俺と同じく転生した母さんと再会した事など話す事にした。

「えっと、何から話せばいいかな？」

　少し頭を整理するのに考える。

「凄く驚くかも知れないけど、安全だから安心してね。母さん、スライムに戻って良いよ」

　俺が母さんに声を掛けると金色の指輪からスライムへと戻ったので、俺は手で抱き上げての頭の上に『ぷにゅ』と乗せると、2人は当たり前だけど驚いていた。

「こんばんは、母のパミュルです。訳あってスライムの姿をしてるの驚かせてごめんね」

　ハリエットさんが少し落ち着いたところで俺に質問をしてきた。

「ウォード？今、母さんと呼んだよね？」
「うん、その説明を今からするね……」

　そこから、俺を産んで直ぐに母さんが亡くなった事、母さんは俺に逢いたい一心で転生したけどスライムだった為にダンジョンで待つしかなかった事、俺が偶然落とし穴に落ちた事で、母さんと奇跡的に再会する事が出来た事を説明した。

「あれ？ウォードって農家の五男だよね？今の話だと男爵家の子供って事だよね？」
「うん、それは僕も転生者なんだよ……」

　俺は前世で生きた11年間の話をした。
　
「そんな……私が居なくなった後にそんな事になっていたのね……辛い思いをしたのね」
「母さんが僕を産んでくれたから今の僕があるんだよ。こうして素晴らしい仲間に出会えたしね。今となっては全てが良い思い出なんだよ！」

　そう言った後、母さんは俺の胸元へ降りてきたので優しく抱きしめた。お互い転生したけど、これから親子として過ごしていい思い出を作っていきたいね。

「ねぇ、ウォードはヤンカー領へ行って、セナさんに会ったらどうするの？」

　ミリムが不安気に聞いてきた。前世で愛を誓っていたからその事が気になったんだね。

「会うというか、元気な姿を見たいだけだよ。僕はウォード.レーカーではないからね。ヤンカー領に立ち寄るけど世界を旅するの通過点だよ」
「そう……良かった♪」

　ミリムは俺の言葉を聞いた安心したのか、いつもの可愛い笑顔に戻った。

「ウォードは子供の頃から不思議な雰囲気だったけど、ウォードの真実を知れば納得だよ。前世の経験を含めて素敵な人に成長したんだね♪」
「ははっ、素敵かどうかは僕には判らないから、ハリエットさんの判断に任せるよ（笑）」

　こんな突拍子もない転生の話を、2人はアッサリと信じて受け入れてくれた。俺は感謝の気持ちでいっぱいになった。