俺のスキルは〚幸運〛だけ…運が良ければ世の中なんとか成るもんだ(笑)

小桃

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第二章 幸運の始まり

第30話 どうして……俺の為に

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 メンディに木剣を渡した翌日、俺はメンディに木剣を渡したので、新しい木剣を購入する為にハンター協会へと向かった。

 会館に到着してハリエットの居る受付カウンターの前に行って、木剣を購入したいと伝えた。

「ハリエットさん、新しい木剣が欲しいのですが在庫はありますか?」
「前の木剣は壊れちゃったの?」
「はい、必要ないと思うんですけどね。一応、護身用に持っておこうかと(笑)」
「直ぐに在庫の確認するわね。」

 暫くするとハリエットさんが木剣を持って戻ってきたので、軽く振って確認してから購入手続きをする。

「少し長めの木剣にしたけど大丈夫かな?」
「はい、問題ないのでこれにします。支払いは預り金から引いてください」
「はい、1銀50銅貨を引いておくね。あっ、そうだ!メンディ君って孤児院の子よね?」

 ハリエットさんの口からメンディの名前が出て少し驚いた。なぜメンディの事を知ってるのか聞いてみる。
 
「そうです。孤児院の子ですけど、なぜメンディの事を知ってるんですか?僕以外の男の名前が出るなんて嫉妬しちゃいますよ?」
「嫉妬って……もぅ、そんなのじゃないのよ?朝一番に協会へやって来て、ハンター登録の手続きをした時に孤児院から来たと言ったからなのよ?」

 少しからかうと面白い反応をするハリエットさんを見て、俺は笑いながら答える。

「冗談ですから(笑)それでメンディはどんな依頼を受けたんですか?」
「魔物討伐とか言って常設依頼を見てたけど、流石に行ってないと思うよ」

 俺は間違いなく魔物討伐へ向かったと思ったので、常設依頼が貼られている掲示板へ向う。

「ウォード君?」
「メンディの性格を考えると、魔物討伐へ行ったと思うので掲示板で依頼を確認します!」

 掲示板にある常設依頼に近くの草原でのゴブリン討伐があったので、俺はそこへ向かったと判断して向かう事にした。ただ、俺には力がないので孤児院へよってミリムの力を借りる事にした。

「すみません、僕はメンディの事が心配なので草原へ向かいますね」
「待って、ちょっと、ウォード君!」

 ハリエットさんの呼び止めも聞かずに会館から出た。そして孤児院へ寄ってミリムを連れて草原へ向かったんだ。

「ミリム、危険な事があるかも知れないのに悪いね。」
「ううん、孤児院で一緒に暮らしてるんだもん、危ないなら助けないと」

 草原に着いてから2人で離れないようにメンディを探してると、メンディの声が聞こえた。

「クソッ、俺じゃ勝てないのか!」

 声が聞こえた方向へ急いで駆けつけると、手に持つ木剣は折れて右手を負傷してるメンディが居た。俺はミリムに助けを呼ぶように指示を出す。

「ミリム、村まで近いから助けを呼んできて!」
「私が戦うからウォードが呼んできて!」
「君の方が走るのが早いだろ!頼むよ、こうしてる時間も勿体ないんだ!」

 俺の必死の訴えにミリムは、不安な顔をしながらも頷いて村へ助けを呼びに戻った。俺は時間を稼ぐ為に木剣を構えてゴブリンと対峙する。

「メンディ、動けるか?動けるならこの場から逃げるんだ!」
「なっ、ウォードなんでお前が!」
「そんな事はどうでもいい!武器の無いお前がここに居るのは危険だ。ミリムが助けを呼びに行ってから大丈夫だからここを離れるんだ!」
「ウォード、どうして……俺の為に……」
「君が居なくなったら、誰が孤児院を守るんだよ!君の力は孤児院を守る為の力だ。こんな所で君を失わせないよ。」
「……済まない。ウォード気をつけてくれ」

 メンディは俺に一言謝ってから、傷を負った足を引きずりながらこの場を離れて行った。

 さぁ、後は助けが来るまで粘るだけだ。
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