上 下
154 / 166
学園編

第64話 信頼関係

しおりを挟む
「セレスティア、おはよう、愛してるわ」
「ママ、おはよう、大好き愛してる」

 目覚めて目の前にママが居る。そんな幸せを感じながら居間へ向う。

「レン、おはよう!」
「セレン様、おはよう!よく眠れましたか?」
「ええ、レンはお母様を満喫出来たって顔をしてるわね」
「そっ、そうかな?偽装解除の私を見慣れてないだけだよ」

 お互い笑顔になって朝の挨拶をしてると、ママも寝室から出てきて朝の挨拶をしてきた。

「本当に2人は仲が良いわね。学園生活が心配だったけど、2人の様子だと安心できるわ♪直ぐに簡単な物を作るから席に着いて待ってて頂戴ね」
「お母様、朝食が済んだらお話ししたい事があるのでお時間を下さい」

 セレン様が真剣な表情でママに話しかけると、ママも同じように真剣な表情で答えた。

「判りました」

 その後は、ママが作ったハムと半熟卵のサンドイッチと紅茶で朝食を済ませてから、セレン様の話を聞く事になったので、朝からの市内観光は中止になったの。

「では、セイレーンの話を聞きましょうか?」

 ママが真剣な表情でセレン様に話しかけると、背筋を『ピン』と伸ばしてから口を開いた。

「はい、今回の私のスピカでの休暇には護衛は来てないと思います。パパからで護衛を外して貰ったんです」
「ある条件……。確かに、影達の報告では護衛や諜報員は見当たらないと報告を受けてます。その条件とはセレスティアの調査報告なのよね?」
「はい、その通りです。ですが真実の報告はしません。自分の身の危険を顧みずに私を信じてくれるレンを裏切る事は出来ませんから」

 父である皇帝との約束を反故にすると言ったセレン様、そんなことをすると反逆罪になるのではと思い、思わず声をかけてしまった。

「セレン様、皇帝に逆らって大丈夫なの?」
「スピカでハンターとして活動してる才能豊かな者だって報告するから、全てが嘘ではないわ。だから私をダンジョンへ連れて行って欲しいのよ」
「セレスティアとハンター活動をして、優秀ハンターだと報告する為にかしら?」
「はい、報告するには経験するのが1番だと思いますから」
「私は良いと思うけど……ママはどう思う?」

 私一人では決めきれないのでママに助言を求めると。私の顔を見ながら笑顔で応えてくれた。

「良いと思うわ。クランに報告して臨時メンバーとして加入してもらいましょう。ブラッド判ったわね?」
「かしこまりました」

 ママの命令を受けたブラッドが即座に現れて、直ぐにハンター協会へ手続きへ向かったの。突然ブラッドが現れたのでセレン様は驚いていた。せっかくダンジョンへ行くのなら気配感知を覚えてもらおうかな?

「セイレーン、セレスティアの事は全て教える事は出来ないのは判って欲しいの。これは私とセレスティアの人生を掛けた戦いだから、帝国を巻き込めないのよ」
「判りました。もし、私が帝国の皇帝になり、協力出来る立場になったとしたら教えて頂けますか?」
「なっ、貴女は……、判りました。もし皇帝になり協力してくれる時がくれば全てを教えましょう。帝国から完全に離れて協力してくれる時も教えます」

 私は元々セレン様を信頼してたけど、この話しあいをした結果、ママもセレン様を信頼してくれたみたい。しかし、セレン様が私とママに協力してくれる時なんて来るのかな?そんな時が来れば嬉しいけど、それはとても厳しい道を歩む事になる……それは正しい事なのかと悩んでしまうのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

【完結】数十分後に婚約破棄&冤罪を食らうっぽいので、野次馬と手を組んでみた

月白ヤトヒコ
ファンタジー
「レシウス伯爵令嬢ディアンヌ! 今ここで、貴様との婚約を破棄するっ!?」  高らかに宣言する声が、辺りに響き渡った。  この婚約破棄は数十分前に知ったこと。  きっと、『衆人環視の前で婚約破棄する俺、かっこいい!』とでも思っているんでしょうね。キモっ! 「婚約破棄、了承致しました。つきましては、理由をお伺いしても?」  だからわたくしは、すぐそこで知り合った野次馬と手を組むことにした。 「ふっ、知れたこと! 貴様は、わたしの愛するこの可憐な」 「よっ、まさかの自分からの不貞の告白!」 「憎いねこの色男!」  ドヤ顔して、なんぞ花畑なことを言い掛けた言葉が、飛んで来た核心的な野次に遮られる。 「婚約者を蔑ろにして育てた不誠実な真実の愛!」 「女泣かせたぁこのことだね!」 「そして、婚約者がいる男に擦り寄るか弱い女!」 「か弱いだぁ? 図太ぇ神経した厚顔女の間違いじゃぁねぇのかい!」  さあ、存分に野次ってもらうから覚悟して頂きますわ。 設定はふわっと。 『腐ったお姉様。伏してお願い奉りやがるから、是非とも助けろくださいっ!?』と、ちょっと繋りあり。『腐ったお姉様~』を読んでなくても大丈夫です。

手記 ~光の国の巨人とは違う人~ ある日の出来事を紡ぐ。

随想アルファ
ファンタジー
怪獣や宇宙生物と地球を守る組織に所属する「俺」が語るある日の出来事。 少し違う世界の少し先の地球の出来事。 地球と人類を狙う知的体の理由や地球人の秘密が語られる。 ロボットや対怪獣兵器、超兵器と魔法と魔術が絡み合った世界。

ユニークスキル【アカウント作成】で幾多の種族で最強になる

たぬきゅらー。
ファンタジー
 これは異世界で、最強の種族が誕生するまでの物語。 謎の陰に殺されてしまった自由気ままな大学生八神圭。死後に出会った女神さまに願うは、“俺を魔物にしてください“ それと”特別なユニークスキル【アカウント作成】“ 、そして異世界へ。殺し合いが日常の異世界で、現実を受け入れ覚悟を決めた主人公は何を目指すのか。スライム、鬼人族、森人族、獣人族、巨人族、龍人族etc...幾多の種族で成り上がる。。※アカウントとは、ステータスと肉体両方のことを指す。

偽りの婚姻

迷い人
ファンタジー
ルーペンス国とその南国に位置する国々との長きに渡る戦争が終わりをつげ、終戦協定が結ばれた祝いの席。 終戦の祝賀会の場で『パーシヴァル・フォン・ヘルムート伯爵』は、10年前に結婚して以来1度も会話をしていない妻『シヴィル』を、祝賀会の会場で探していた。 夫が多大な功績をたてた場で、祝わぬ妻などいるはずがない。 パーシヴァルは妻を探す。 妻の実家から受けた援助を返済し、離婚を申し立てるために。 だが、妻と思っていた相手との間に、婚姻の事実はなかった。 婚姻の事実がないのなら、借金を返す相手がいないのなら、自由になればいいという者もいるが、パーシヴァルは妻と思っていた女性シヴィルを探しそして思いを伝えようとしたのだが……

ファントムガール ~白銀の守護女神~

草宗
大衆娯楽
現代忍者の次期当主として人々を影から守る美しき少女・五十嵐里美は、宇宙生物「エデン」の能力を借りて巨大な白銀の女神ファントムガールへと変身する。 同じ「エデン」の力で巨大化した怪物=ミュータントを退治して活躍していた里美だが、邪悪な意志を持つミュータントに敗れ重傷を負ってしまう。 巨大変身する力を得た美少女たちの、恋と友情、闘いの物語。 「闘うヒロインの苦闘や陵辱」などをハードに描いた小説です。時にヒロインが死を迎える場面もあります。 20年ほど前に発表した作品をこの場を借りて再掲載したものなので、前半スマホが登場しない、などの現代と合わない描写もありますが、その点留意してお楽しみいただければ幸いです。 すでに様々な場所で公開している作品ですが、せっかくなのでアルファポリスでも掲載させて頂きます。 またファンティアでは続編も公開していますので、ご興味があればそちらもご覧いただければ幸いです。 https://fantia.jp/fanclubs/1770 筆者の処女作ですので未熟な点も多々ありますが、お楽しみいただければ嬉しいです。

転生悪役令嬢の考察。

saito
恋愛
転生悪役令嬢とは何なのかを考える転生悪役令嬢。 ご感想頂けるととても励みになります。

ヒロインが迫ってくるのですが俺は悪役令嬢が好きなので迷惑です!

さらさ
恋愛
俺は妹が大好きだった小説の世界に転生したようだ。しかも、主人公の相手の王子とか・・・俺はそんな位置いらねー! 何故なら、俺は婚約破棄される悪役令嬢の子が本命だから! あ、でも、俺が婚約破棄するんじゃん! 俺は絶対にしないよ! だから、小説の中での主人公ちゃん、ごめんなさい。俺はあなたを好きになれません。 っていう王子様が主人公の甘々勘違い恋愛モノです。

処理中です...