上 下
112 / 126
学園編

第21話 決闘 武術最強の男

しおりを挟む
 【決闘】の申請書は事務局に受理されたので、その週の週末に行われる事になったの。
 まぁ、公示されたので学園で話題になってる訳です……誰もが1年生の私達が負けるものと思ってるの。特に周りの男性達なんかは、私がゼクス殿下の【慰者】になるの想像してるのか?嫌らしい目線を向けてくるのが嫌だった。
 全ては【決闘】が終わるまでの我慢だと思いながら、嫌な気持ちで毎日を過ごしたの。

 そして週末になり【決闘】の日がやっと来たの。

 【決闘】は週末の授業の後に行われる為に、闘技場は見物する生徒でいっぱいになっていた。

 そんな雰囲気の中で【決闘】の参加者が闘技場に現れると『わぁ~』っと歓声が上がる。

「結構な人が見物するんだね。恥ずかしい……」
「まぁ、公示されたから仕方ないわね……」
「やる事をやるだけだよ!」

 3人で顔を見合わせ話をしてると。

「お互い揃った様だな!早く【決闘】を始めてくれよ。僕はその平民を連れて帰って色々とする事があるんだからな!」

 闘技場の最前列に陣取るゼクス殿下が、卑猥な顔をしながら大声をあげた。

 すると、事務局から来た決闘見届人が闘場にあがり、【決闘】の開始を宣言する。

「これより【決闘】を行う。内容は公示の通りだ。決闘見届人はレイバックが行う。互いの先鋒は前へ出ろ!」

 闘場へ私と4年Sクラスのゲイル先輩があがると『うぉ~っ』と歓声が上がったの。
 学園内で毎年行われている、学園武術トーナメントで3位となり、現学園では武術最強の男と呼ばれてるみたいで、殆どが彼への声援だったみたい。

「殿下がお前を味わった後に、俺達にも回してくれると言われたんだよ。もうその事を考えただけで……昨晩から興奮を抑えきれないんだよ!」

 キモイ顔で私を舐める様に見てくるので、早く終わらせようと思った。

「無駄口は慎めよ。では始め!」

 ゲイル先輩は大剣で私は槍を構えた。
 大柄な割になかなか素早い動きで、私との間合いを詰めて大剣を振り降ろすけど、かなり大振りだったので軽く躱す。

「今の避けるとは少しはやるようだな。だが次で決めてやるぜ!」

 避けた事を褒められた。
 ゲイル先輩は自信満々に次で決めると宣言すると、大剣を下段から振り上げようとするんだけど、動きは遅く感じたので、私は大剣を握る手に向けて石突で軽く突くと『ぐっ…』と言ってから大剣を落とした。私はそのまま槍先を目の前で寸止めをすると、先生が勝ち名乗りをあげた。

「勝者セレン!敗者は闘場を去れ、次に副将は闘場へあがれ!」

 一瞬で学園武術最強の男が負けたので、闘技場内は静まりかえっている……負けたゲイル先輩は必死な形相で言い訳をしていた。

「今のは無しだ!手元が滑ったんだ!」

 情けない言い訳をしてるよ……(ダサッ)

「おい、戯言を言うなよ?とっとと降りなければ俺が直々に場外へぶっ飛ばすぞ?」

 軽い殺気を含んだ先生に睨まれて、元学園武術最強の男と呼ばれていた人は下がっていった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

努力でチートをその手に〜スキルと身に付けた魔法で無双する。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:56pt お気に入り:319

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:48,878pt お気に入り:35,441

それでも逢いに行く

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

番から逃げる事にしました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:27,874pt お気に入り:2,198

10代の妻を持って若い母親にさせる話①

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:697pt お気に入り:2

ニケの宿

BL / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:37

竜の恋人

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:576pt お気に入り:61

処理中です...