激レア種族に転生してみた（笑）

異世界転生 学園編

第43話 アリスの実力

　模擬戦の開始と同時に、私とブルース先生は間合いを詰めながら、互いに最速の武技で先手を狙う。

「残念でした。速さなら槍より剣だよ〚双斬撃デュアルスラッシュ〛！」

　武器の特性の差で、私の方が先に双剣を振り抜いた。ブルース先生は瞬時に攻撃態勢から防御に切り替えて、斬撃を双槍で受け止めたけど衝撃で後退する。

「ぐっ、速さだけじゃなく威力もあるのかよ！」

　私との速さ勝負に敗れて、先手を取られたブルース先生がなにか言ってるみたいだけど、私は気にすることなく次の一手を繰り出した。

「次は熱いよ？　炎剣〚炎神楽かぐら〛！」

　双剣に炎のを纏わせた状態で、円を描くように双剣を振ると、左右両回転の炎の渦がブルース先生に襲いかかると、右手の槍をバトンのように『クルクル』と回転させて凌ぎきった。

「お前も、魔法を纏わせるのかよ！今年の新入生はいったいどうなってるんですだよっと」

　ブルース先生は驚きながらも笑顔を浮かべて、左手で持つ槍の石突で突きを放ってきた。私はバック宙で突きを躱すと、回転していた槍の柄に手をかけて斬り下ろしてきた。

『シュッ！』
「よっと！」
『シュバッ！』
『ガキッ』
「これを止めるのかよ！」
　
　私が双剣をクロスさせて槍の一撃を受け止めると、クロスした双剣を振り上げると、ブルース先生の体勢が棒立ちなったところへ、つま先で顎へ向けて蹴りをいれる。回避は無理と思ったブルース先生は、顎への蹴りを回避する為に、つま先を頭突きで受け止めると、かなり効いたようでよろめいた。

「くっ、今のは効いたな……」
「魔物と違って対人戦って面白いね！」
「余裕かよ？」
「う～ん、どうかな？　武装変換！」

　私は双剣から扇に武装変換をして、扇に風魔法を纏わせて軽く振って風の衝撃波を放ってから、一気に間合いを詰める。ブルース先生は衝撃波を槍で受け流して軌道を変えた後に、カウンターの刺突を放ってきた。

「これでどうだ？」
「予想の範疇かな？」

　カウンターの突きを身体を回転させながら扇で弾くと、さらに身体を回転して打撃をいれる。なんとか槍で打撃を受け止めたけど、蹴りのダメージが残っていたようで体勢を崩す。その隙を見逃さずに扇の突きを額の手前で止めたところで勝敗が決した。

「参った。俺の完敗だよ……」
「ありがとうございました。凄く楽しかったよ」
「ははっ、あれは何だったんだ？　武装変換だっけ？　双剣が扇に変わったのは驚いたぞ！」
「えへへ、私の意のままに変換できる物だよ。【ルミナスの森】に優秀な鍛冶職人がいるおかげだよ」

　自分で作ったと言えば、作って欲しいと言われるかも知れないので、本当のことは言わなかった。

「そうか、有能な技術者が居るのは羨ましいな。これで今日の授業は終了だ。明日は午前は戦術論を、午後は魔術論をするからな。では、解散！」
「「お疲れ様でした！」」

　こうして英傑学園での初めての授業が終わった。

　私とアナ、2人の新入生が教師との模擬戦で勝利するという英傑学園創設依頼の快挙を成し遂げた。これが黄金世代の始まりであった。