激レア種族に転生してみた（笑）

異世界転生 学園編

第42話 模擬戦⑤

　ブルース先生とアナも模擬戦が始まった。

　開始早々にアナは左手でナイフを投げて、ブルース先生の意表を突く。

『ビュッ』
「おわっ！いきなり仕込みナイフかよ……、暗殺術の使い手なのかって、畳み掛けてくるのかよ！」

　先生は紙一重でナイフを躱すことは予測済みで、アナはレイピアによる波状攻撃を仕掛ける。目にも止まらぬ素早い連続の突きに、流石のブルース先生も全てを捌くことはできずに、小さな傷をいくつも負ってしまった。

『シュ、シュシュン、シュシュシュン！』
「ぐっ……、なんて剣速だよ。捌ききれない旋風槍！」

　ブルース先生は手数で勝てないので、槍を高速回転させることで波状攻撃を防ごうとすると、アナはレイピアに炎を纏わせて一気に押し切ろうした。

「獅子炎舞ししえんぶ！」
『ボワッ！』
「何だと！武器に魔法を纏わせたのか！？」

　レイピアの剣先から炎の獅子が現れると、高速回転する旋風槍を簡単に突き抜けて、ブルース先生が炎に包まれるのかと思った瞬間、アナは魔法を停止したので炎に包まれることはなかった。

「あちっ、完全に俺の負けだな……。まさか、新入生相手に一方的に押し切られるとは思わなかったぜ」
「反撃の隙を与えると、技術戦に持ち込まれますからね。そうなると分が悪いので、最初から全開で行けるところまで行くつもりでしたから」
「それでもだ。軍隊や騎士団を見渡しても、その威力を出せる奴なんて殆ど居ないぞ？　学生なんて辞めてどちらかに入隊すれば、すぐに英雄になれるんじゃないか？」

　ブルース先生は、アナの強さは学生の範疇を超えていると言って、軍隊や騎士団を勧めた。普通なら喜ぶところなんだろうけど、アナは冷めた表情で返事をしたのだった。

「私の力はアリス様をお守りする為のものです。それ以外には興味などありません」
「そ、そうか……、最後は首席のアリスだな」

　ブルース先生が私を呼んだけど、アナとの模擬戦で小さな傷を負っているのと、従者3人を相手にしたことの疲れが出ているようだった。私は万全の状態で模擬戦をしたいので、回復をしてもらうことにした。
「は～い、模擬戦を始める前に、これを飲んで元気になってくださいね」

　そう言った後に、闘技場に上がって妖精の鞄フェアリーポーチからハイポーションを取り出してブルース先生へと渡す。

「お、おい、ハイポーションだぞ？　本当に良いのか？　かなり貴重な物なんだぞ？」
「大丈夫ですよ、ハイポーション程度ならいっぱいあるんだもん」
「ハイポーション程度っと……、では遠慮なくいただくからな『ゴクゴク』ぷはぁ～、すごい効果だな！」
「そうでしょ！私の自信作なんだよ。先生も元気になったみたいだし、模擬戦を始めちゃおう！」
「おう、最初から全力で行くぞ！」

　私が双剣を構えたのを確認したブルース先生の合図で、模擬戦がはじまったのだった。