激レア種族に転生してみた(笑)

小桃

文字の大きさ
上 下
145 / 225
異世界転生 学園編

第39話 模擬戦②

しおりを挟む
 ブルース先生は模擬戦で勝利をあげて、残ったのは私を含めた十傑のみとなり、入学したばかりの学生相手に大人げないと思った。

「新入生ならこんなものか、次から十傑だから少しは楽しませてくれるのかな? マリアンヌ上がれ!」
「はい!」

 緊張した面持ちで闘技場へ上がったマリアンヌさんは扇を構え、ブルース先生は双槍を構えたところで、ブルース先生と十傑との模擬戦が始まった。

 マリアンヌさんが扇に風の魔力をまとわせると、そのまま扇を水平に振った。すると風刃が発生して、ブルース先生を襲ったけど、右手の槍を軽く振って風刃を打ち消すと同時に、左手の槍に魔力を込めて突く動作を取る。

『ドッ!』
「きゃっ!」

 ブルース先生の槍から衝撃波が放たれて、マリアンヌさんは扇を広げて防御の姿勢をとったんだけど、受け止めきれずに場外まで吹き飛ばされ、尻もちをついたところで勝負あり。

「参りました。防げると思ったのですが無理でした……、見極めが甘かったですね」
「ははっ、これでもこの学園を次席で卒業してるからな、新入生なら受け切れなくて当たり前だ。扇から発生させた風刃は見事だったぞ!次はリオネルだな、闘技場へ上がってこい」

 マリアンヌさんを一蹴した後も、休憩を取ることもなくリオネル君を呼ぶと、自信満々な表情をしながら闘技場へあがる。豪華な鞘から剣を抜くと、天にかざしてからブルース先生に剣を向けて声をあげた!

「ふん、これは聖剣ラムダ。俺の一撃を防げるなんて思うなよ?」

 おぉ、なんとリオネル君は聖剣の所持者だったみたい。流石はグリエル王国の第一王子だね!授業が終わったら、聖剣を見せてもらえないか聞いてみようと思った。

 ところが、ブルース先生は面倒くさそうな顔をしながら、聖剣ラムダを構えるリオネル君に向かって、開始の声をかけると模擬戦が始まった。

 リオネル君が、聖剣を上段から振り下ろすと、剣先から衝撃波が飛ぶ。聖剣ともなると魔力を込めなくても、衝撃波が飛ぶものなのかと感心していると、ブルース先生は右手の槍を前に突き出して、先ほどと同じように衝撃波を出して相殺した。リオネル君は自慢の一撃を簡単に相殺されて驚く。ブルース先生は一瞬の隙を見逃さず、一気に間合いを詰めてリオネル君の首元へ槍を寸止めしたところで、呆気なく決着がついたのだった。

「馬鹿な!聖剣ラムダの一撃だぞ……ありえん!」

 ブルース先生は、悔しがるリオネル君に『はぁ~』とため息をつきながら、面倒臭そうに話しかけた。

「あのな、ラムダは聖剣ではなく魔法剣だろ!本来の魔法剣は魔力をまとわせることで、威力を増強させる代物だ。今のお前には使いこなす技量が圧倒的に足りていない。訳の判らない言葉を口に出す前にもっと鍛錬をしろ!」
「ぐぬぬ……」

 リオネル君は歯を食いしばりながら悔しがっていた。圧倒するだけではなく、ちゃんと的確なアドバイスもするんだと感心していると、次の生徒に声をかけたのだった。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...