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第六章 国造り編

第87話 侯爵との会食

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 奴隷市場の会員となってからは、会員に推薦してくれたペイトン侯爵とのお礼の会食や、リクルト商会から人材の紹介をしてもらった。

 先ずは、奴隷市場の会員に推薦してくれた、ペイトン侯爵家との会食は有意義だったの。

 会食はペイトン侯爵家で行なわれて、ペイトン家からはガリー、パトラのご夫婦と一人の娘のマリベルが、ファミリアからは私、トラパーネ、アネロが出席した。私は溢れるフェロモンを抑制するピアスを作ったので、会食の対策は万全!

 奴隷市場の会員だから、種族差別を容認してるのかと思っていたけど、奴隷市場で購入された者は奴隷から開放し、必要なら教育を施した後に、適材適所に使用人として配置していた。素晴らしいことだと思って話を聞いてみた。

「私の知る限りでは、他種族に対する扱いは酷いものばかりで、ペイトン侯爵様のような扱いをする貴族を存じません」
「ははっ、ハルカさんの言う通りだね。その理由の1つは妻が関係してるんだよ」

 侯爵は、他の貴族を少し非難する言葉に軽く笑ってから、妻のパトラが関係してると言った。その言葉だけでは全く判らないので、首を横にかしげながら質問をすると、パトラが楽しそうに答えてくれた。

「奥様ですか?」
「えぇ、私はエルフのクォーターなので、主人は種族に対する嫌悪感はないんですよ。しかし、ハルカさんは感情が表に出るのね。貴族を相手にすると腹の中の探り合いです気疲れするけど、感情を表に出しながら話をするのは楽しいわね」

 楽しいと言ってくれたけど、これは貴族との会食では注意しなさいと促してくれたんだね。これからは十分に気をつけることにする。

「表情に出てましたか……、ご指摘をしていただき感謝致します。でも、お二人が結ばれるには色々な障害があったのでは?」
「私は両親を早く亡くしてね。反対する者は居なかったし、他の貴族も私の耳に届けばどうなるか判ってるから、表立って口にする者は居ない。そう、腹の中に留めてるだよ」

 ガリーもパトラ同様に気さくな人だ。ただ、表情には気をつけることだけは、本当に注意しないといけないんだと判った。その後も色々な話をして楽しい会食となった。その中でも娘のマリベルはファミリア商会の家具が好き過ぎて、思わぬ相談を受けた。

「私は、会食をすると学園から戻ってきましたの。卒業したらファミリア商会の職員として働かせていただけませんか?」
「えっ?」

 私が思わず固まってると、代わりにアネロが答えてくれた。

「申し訳ありません。ファミリア商会の雇用契約には、従属契約がございますのでなかなか厳しいかと思います」
「う~ん、お父様?私が従属契約するのはダメなのですか?」
「まぁ、そこはマリベルがどう思うかだね。私も国のことで同じような契約をしてるからね」
「そういうことなので、卒業したら雇っていただけますか?」

 従属契約が必要だと伝えたけど、マリベルは侯爵に話を振って確認すると、少し考えた後に問題ないと言ったのだった……

(これは……雇うしかないよね?)
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