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第六章 国造り編

第60話 解放する者

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 エリカと一晩を明かした翌日は、ロベルトから得た情報を元に、今後の方針について話し合うことにした。会議の場にはファミリアの住人と獣人を代表してアロナが加わって行われた。

「では、今後の方針についての会議を開きます。先ずはハルカ様から一言頂きます」

 トラパーネの進行役で会議が始まると、最初の一言を求められたので私の希望を伝える。

「【傲慢の王】は壊滅させたけど、タッタリア商会を通して貴族や富裕層の手に渡ってるの。私としては救ってあげたいと思ってるの。遠慮なく意見を言ってね」

 私が遠慮なく意見を言ってというと、エリカが真っ先に手を上げてから意見を言った。

「じゃあ、遠慮なく言わせてもらうよ。全員を救うのは無理だ。それをするってことは国と戦争をするってことだからね」
「そうか、国との戦争は避けたいけど、可能な限りの獣人を救うにはどうすればいい?」

 エリカが全員は救えないと言ったので、どこまでなら救えそうなのかを全員に聞いてみた。できるだけ多くの獣人を救ってあげたいという、私の思いを汲み取った頭を働かせる間、会議の場が静まり返る……。

「あの~、富裕層までなら絶対に大丈夫だと思いますが、上級貴族から上は絶対にダメです。下級とはいえ貴族に手を出すと、所属する派閥次第では危険だと思うので、貴族に手を出す場合は下級貴族まででそれも、下調べを完全に済ませたもの以外は手出し厳禁たと思います」

 自身が貴族子女であるテレサが意見すると、トラパーネが手にした販売リストを確認していた。リスト内に書かれた富裕層と、下級貴族を調べてくれたようだ。

「リストの半数は富裕層ですね。下級貴族は3割程度ですから、テレサの言った通りに救うのなら多くても6割辺りになりますね」
「6割か……」

 トラパーネの報告を聞いて、私が肩を落としながら呟くと、アロナが私を気づかって声をかけてくれた。

「ハルカ様、そこまで深刻に考えないでください。本来なら誰一人救われることがなかったのです。我々は感謝しかありません」
「でも、私にもっと力があれば、なんとかなるかも知れないのに……そう思うと悔しいよ」
「元々、独立国家を目指そうって話はあったんだからさ、もっとたくさんの人を集めて国を作ろうよ。国として人身売買の禁止を訴えて圧力をかければ、今よりマシになるだろうし、弱い種族の人達が移住してくるんじゃない?」

 自分の無力さを嘆いていると、アニエラの思いがけない一言でその場に居た全員が驚いた。私はその言葉を聞いて驚いたけど正解だと思った。

「あははっ、アニーの言葉には驚かされたけど、それが正解なのかも知れないね。私は国造りを急ごうと思うの、私は人に迫害される人達を解放する者になるよ!」
「はっ、流石はあたいのハルカだ。とんでもないことを言い出したけど大賛成だよ!」
「「貴女に従いついて行きます!」」

 エリカが賛成と言うと、その場に居た全員が声を揃えてくれたのだった。


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