実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃

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第六章 国造り編

第58話 ファミリアに戻って

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 タッタリア商会での獣人の救出、獣人の購入者リストの入手、【傲慢の王】の総裁ロベルトの始末という目的を達成して、私達はファミリアへと戻った。無事と言いたかったけど、エリカが元S級ハンターに敗れて、もう少しで蹂躙されるところだった。

 ファミリアに戻って、今後の対応を直ぐに話し合うところだけど、エリカのことが心配なので、その日は疲れたと言って話し合いは翌日にすることにした。そして、部屋へ戻る時に〚以心伝心〛でエリカに声をかけたの。

『エリカ、少し話したいことがあるからさ、私の部屋まで来てくれるかな?』
『あぁ、判った。汗を流したら向かうよ』
『うん、待ってるね』

 話した感じは普通を装ってたけど、明らかにいつもの雰囲気ではなかったのが気になった……。

§エリカ視点§

 部屋に入ると直ぐに浴室へ向かう。直ぐに湯を被って石鹸で体中を『ゴシゴシ』と洗っているが、手が震えて思うように洗えないでいた。

「あたいは……、あの男に犯されるところだった……」

 思わず口に出すと涙が溢れ出した。

「ハルカが居なきゃ……、あんな男に……、うっ、うぅ……」

 浴室で思い切り身を震わせながら泣いて、少し気を落ち着かせてから、気持ちを切り替えてハルカの部屋へと向かったのだった。

§メインストーリー§

 エリカを待っていると、ドアをノックする音が鳴った。

『コンコン』

「あたいだよ」
「入っていいよ」

 エリカがドアを開けて部屋へ入ってくると、いつものようなニヤけ顔で、いつものような強気な言葉をかけてきた。

「なんの用なんだい?あたいが蹂躙されてる姿を見て興奮して抱かれたくなったのかい?」
「う~ん、ちょっと違うかな?」

 エリカの言葉に、首を横に振って答えたあと、私はエリカに歩み寄ってから包み込むように抱きしめた。

「あんなことがあった後だからね。エリカのことが心配になってたんだよ?だっていつもと雰囲気が違うんだもん。本当に大丈夫?」
「あっ、あたいは婆さんなんだよ?あ、あの程度のことで……、あっ、あぁ~」

 エリカは両膝をついて泣き崩れた。

 やはりあのことが心にダメージを与えていたんだね。私も片膝をついて泣き崩れるエリカの頭を、胸元に抱き寄せて声をかける。

「ごめんね、怖かったよね。心の中に溜めないで、全てを吐き出して良いんだよ?」
「あっ、ハルカ、怖かったんだよ。あたいがあんなヤツ奪われるのかと思うと怖かった、これまでの人生で1番怖かったんだよ……」

 普段は強気なイメージが強いエリカも私と同じ女だ。私だって同じ目に合えば怖かったと思う。

 この後はエリカの若かった頃から、私と出会うまでのことを色々と聞かせてもらったの。



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