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第六章 国造り編

第55話 ロベルトの最期①

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 男の亡骸を残さずに始末したあと、アニエラの元へ歩み寄る。

「お待たせ。直ぐに拘束を解くね」
「うん、直ぐに来てくれてありがとう。全く相手にならなかった……悔しい」
「気にしない!はい、痛いところはない?」
「うん……、大丈夫」

 拘束を解くと私に抱き着いてきた。頭を撫でたあとは気を失ったエリカへ目を向けて、アニエラの頭を『ポンポン』とすると、私から手を離してくれたのでエリカの元へ向かった。

 ほぼ全裸のエリカを抱き起こして声をかけると、ゆっくりと目が開くと私の腕の中だと気づいたようで、思い切り抱き着いてきた。

「ハルカ、あたいは……」
「大丈夫、あの男はもう居ないよ。塵にしちゃったからね。だから何もなかった大丈夫」
「こんなババアが言うのも何だけど、あのまま犯されるのかと怖かったんだ……」
「半永久に生きる私達なんだよ?エリカはお婆さんじゃないよ?それにあんな思いをしたんだからさ、怖くて当たり前じゃない。さぁ、これを着て最後の仕上げをしに行くよ」
「あぁ、そうだね」

 私が〘無限収納〙から取り出した服を渡すと、エリカは直ぐに身に着けた。後はトラパーネが合流するのを待ってから、ロベルトが隠れている部屋へ向かうだけと思ったら、トラパーネは直ぐに私達の元にやって来た。

「お待たせしました。建物に残る全ての者の始末を終えました。そちらも終わられたようですね」
「うん、後はロベルトを始末するだけだよ。パーネも来たしそろそろ終わらせようか」
「「OK!」」
「かしこまりました」

 私はロベルトが隠れている部屋の前に立って、ドアに手をかけたけど固く閉ざされていたので、ドアを思い切り蹴破って中へと入る。

 そこには顔面蒼白になったロベルトが、震える手に剣を持って身構えていて、入って来たのが私だと判ると『ホッ』とした表情になった。

「ハルカ、君が私を助けに来てくれたのか?」

 見当違いの言葉に一瞬固まったけど、笑顔を見せながら足を進めると、完全に安心したのか?手にした剣を捨てて私の元へ近寄ろうとした。

「ありがとう。君は僕の天使だよ!」
「いいえ、どちらかと言うと悪魔だと思うよ?【傲慢の王】を潰しに来たんだもん」

 私に抱き着く勢いで近寄って来た足が止まる。そんなロベルトに向かって満面の笑顔を浮かべながら最後通告をする。

「獣人の女の子を売り物にするなんて許せないもん。聞きたいことを全部吐いたら、死んでもらうからね」
「こ、殺されると判って喋ると思ってるのか。生かすと約束しなければ絶対に言わないからな!」
「絶対に話すよ?アニーお願いね」
「OK!」

 アニエラが前に出て、ゆっくりとロベルトへ近寄ると後退りをしたけど、壁に当たると逃げ場がなくなり、アニエラの口がロベルトの首元に当たったのだった。
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