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第五章 ファミリア編

第30話 魔物の連携

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 特殊なエリアが無くなった巨大迷路の攻略は決して楽なものではなかったの。

 出現する魔物がなかなかの強敵で、私も〚空間魔法〛や〚翼刃《ウイングブレード》〛を使わなければ簡単には倒せなかった。特に鬼人と剣蜥蜴ソードリザードは違う魔物同士なのに連携を取ってくるのでかなり手強かったの。

「以前は魔物同士の連携なんてなかったのに、統率するリーダーでも居るかも知れないね」
「パーネやドワイトみたいなエリアマスターとは別にって事?」
「あぁ、パーネ達がエリアを支配する事で、生息していた魔物達が違うエリアに追いやられたからさ、魔物達の中から統率者が現れて、魔物同士が協力関係を築いたのかも知れないよ」
「魔物ってそこまでの知能があるの?」
「生き残る為に必要なら、進化する可能性が無い訳じゃないだろう?」
「まぁ、私も進化してるからね~」

 エリカと真面目な話をしていると、魔物を感知した並列思考セレブロが話を断って教えてくれた。

『前方100mに分岐点が左右にあって、その両方から魔物が向かって来てる。数は12体!』
「魔物の特定はまだだね?纏はなしで純粋な戦闘で倒す感じで行くよ!」
「「OK!」」

 私達も前進して魔物群れに近寄って行くと、短剣が飛来してくる。私は魔法で〚風壁ウインドウォール〛を展開して短剣を受け止める。短剣の飛来が止むと、トラパーネが大剣を水平に薙ぎ払って斬撃を飛ばす。

『バシュンッ!』『ガッン!』

 斬撃を受け止める音がしたので、先頭の魔物は盾を持った鬼人だと判った。こちらもアニエラとエリカが水魔法の〚水刃ウォーターカッター〛を連続で撃ち込むと、後方から〚火球ファイヤーボール〛が飛んで来て魔法を相殺した。今回の群れには〚死霊人デスリッチ〛まで含まれているようだ。完全に物理と魔法に遠近戦闘のバランスが取れた編成が組まれてる。

「なかなか面白い編成だね!私は中段へパーネは足元へ薙ぎ払いを撃つよ!どちらかの斬撃が当たるからアニーとエリカはその隙を突いてね」
「「OK!」」
「パーネ、行くよ!」

 私とトラパーネが上下同時に斬撃を飛ばすと、斬撃を受け止める音と当たる音が同時に聞こえると、斬撃と同時に前進していたアニエラとエリカが攻撃を仕掛ける。
 私の斬撃は受け止められたけど、足元への斬撃が当たっていたようなので、鬼人達は前屈みにバランス崩していたのを、アニエラとエリカが次々と刎ねていく。すると後ろに控えていた剣蜥蜴ソードリザードの短剣が飛来してきたので、私は土魔法の〚砂壁サンドウォール〛を展開して2人を守る。

「流石はハルカだね!」
「パーネ、2人に合流して!砂壁を消したら一気に剣蜥蜴ソードリザードを殲滅させて!」
「かしこまりました」

 私が砂壁を消滅させると、アニエラは双剣を水平に振り抜いて首を刎ねて、エリカは鞭の先端で頭を突き刺す。最後にトラパーネは大剣を思い切り振り落として、頭から胴体の途中までを両断していた。残った死霊人デスリッチへは私が両手の扇を投擲して2体の首を刎ねたところで、全ての魔物を倒した。

「ふぅ~、お疲れ様!」
「連携攻撃をしてくるから楽しいね~」
「ハルカ様の的確な指示があれば怖いものはありませんね」
「この調子で先へ進んで行こう~」

 その後も、色々な編成で現れる魔物達との戦いを楽しみながら、巨体迷路を進んで行ったの。
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