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第四章 スライムヴァンピール編

第71話 追われる前に

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 私は着替えを持ってルカさんの元へ歩み寄って、気不味そうな感じで着替えを手渡す。

「あの、怖い思いをさせてごめんね……
とりあえず着る物が必要だからこれを」
「うっ、うぅ……ハルカしゃん……」

 私の名前を言った後は、私に抱き着いて泣き始めたの。恐怖で泣いてるのではなく、緊張した感じはなく安心して私に身を任せるものだった。私はルカさんの頭を撫でながらも、この場から早くする必要があるので、ルカさんに服を着てもらってから場所を移す事にしたの。

「この場所を早く離れないといけないの。この服を着たら、私と一緒に落ち着ける場所へ移動するね」
「はい、ハルカさん付いて行きます。もう
「うん、離れないでね」
「はい!」

 笑顔で返事をした後は、渡した服に着替えたので、ドアを開けて部屋の外に出るとアニエラとエリカが待っていてくれたが、表情は明るいものではなかった。

「ロックは殺ったようだね」
「うん、そっちはどうなの?」
「執事に逃げられたんだ……アイツは高速移動するスキルがあったみたいでね」
「まぁ、仕方ないよ。それより宿から堂々と出るのはマズイからさ、〚隠密ステルス〛を使うから高度上げてバレないように移動するよ」
「「OK!」」
「えっ……高度をあげる?」
「ルカさんは私に掴まっててね。空を飛ぶから声だけ出さないでね」
「はひ?」

 私達は窓から外を見て、誰もこちらを見てないの事を確認した後に、一気に300m位まで上昇する。下を見てみると何かが動いてるのは判るけど、それが何かまでは特定出来ない筈なのと、隠密ステルスが効いてるから気付かれる事はない。ルカさんが怖がってるので、落ち着けそうな場所へ移動する事にした。

 トーレス町の外れにある人気のない林の開けた場所へ降りると、ルカさんは固まったまま動けないようで、頭を撫でながら降りた事を伝えてあげた。

「落ち着ける場所に降りたから大丈夫だよ」
「あっ、はい……空を飛ぶのは初めてで……」
「心の準備なしだったからね。声を出さずによく頑張ったね♪」
「怖すぎてそんな余裕はありませんでした……」

 ルカさんの表情が少し柔らかくなったなので、もう少しここで時間を潰してから町へ戻る事にしようと思ってるけど、その前に今後の話をする必要があったの。

「ロックの執事はどこに逃げたと思う?」
「伯爵邸か冒険者協会だと思うけど、あたいが直ぐに思い付く場所へは逃げないとすれば、町を出てる可能性が高いね」
「それなら、町へ戻って身支度を整える時間はあるよね?」
「あぁ、間違いないと思うね。トーレス町を出るのかい?」
「追って来たら戦闘になるでしょ?町の人達を巻き込みたくないからね」
「どこか候補地はあるのかい?」
「エルピス山脈の麓はどう?あそこなら人は来ないでしょ」
「まぁ、無難なとこだね。パインは連れて行くのかい?」
「本人の意志次第かな?残るならあの家はあげちゃえばいいでしょ(笑)」
「OK!」
「じゃあ、暗くなったら戻るね」

 騎士爵様を殺っちゃったので、国から追われる前にトーレス町を離れる事にした。これから町へ戻ってから伯爵への報告と、パインの意思を確認したら、さっさと町を去る事にしたの。
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