実はスライムって最強なんだよ？初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

第四章 スライムヴァンピール編

第34話 付与術を求めて鍛冶街へ

　前日に続いてハンターの仕事は休みにした。

　私達は〚付与術〛を求めて鍛冶街へ向かってる。鍛冶街は赤色通の水筋辺りにあって、スラム街とは違って綺麗に整備されていた。
　流石は鍛冶街と言うだけあって、朝なのに『カン、カンッ！』と作業を行ってる音が鳴り響いていた。

　殆どの鍛冶屋は、店舗を持たずに装備を作りに専念してる事が多いけど、商会や商店という取引先を持たない鍛冶士は、小さいながらも店を構えて装備を販売してるの。若手ハンターなどは値の張る専門店ではなく、直接購入できる鍛冶街へ買いに来るからね。

「昨日は人だったけど、今日は並んでる装備を鑑定していくよ！効果が付与されてる装備があれば、その店へ入って店主の鑑定をする。判ったかい？」
「OK！」

　私は〚鑑定眼〛を発動させて店先に並ぶ装備を鑑定していった。効果付きの装備なんて直ぐに見つかると思ったんだけど、全然見つからなかったの。〚鑑定眼〛を持たないアニエラが暇そうにしながら話し掛けてきた。

「効果付きって珍しい物なの？」
「効果付きの装備を持つ事は、討伐を生業にするハンターなら最初の夢なんだよ」
「持ってないから判らないや（笑）」
『アニー、ハルカの聖衣が効果付きだよ。自動修復と調整が効果だよ』
『あれが効果なんだね♪それなら凄いね。並列思考セレブロありがとう～』
『どういたしまして』

　そういえば、私の聖衣って効果付きだった。そう考えると相当貴重な物だし、誰にでも作れる代物ではないと理解できた。

「おっ、あの短剣に【貫通】の効果が付与されてるよ。店に入って確認するよ！」

　効果付きの装備が並んでる店を見つけたので、店に入って店主を鑑定する事にした。

「らっしゃい！うちは逸品が揃ってるよ」
「この短剣なんですが、店主さんが作られたのですか？」

　話し掛けると同時に店主を鑑定する。

【フッツー】〚鍛冶士〛〚交渉術〛

　あれ？〚付与術〛が無い……他の装備類を見てみても効果付きは無かった。

「ねぇ～、この短剣なんだけどさ～、誰が作ったか教えて欲しいのよっ♪」

　男勝りの言葉のエリカが甘い声と、大きな胸を更に強調させるお色気作戦で、店主に作成者を聞きだそうとする。店主は鼻の下を伸ばしながら答えてくれた。

「それは、ハーフドワーフの娘が作った物なんだよ。鍛冶の世界で女は異端なんだよ。なかなか売れないからうちで置いてやってるだよ」
「その娘の作業場を教えてっ♪」

　店主に顔を近づけてお願いするエリカに、店主は『デレデレ』顔になって答えたの。

「この店の三軒隣にある【Pine】って店だよ」
「ふふっ、ありがとう♪」

　エリカは店主の頬にキスをしてから振り返って、私達に軽くウィンクをしてから【Pine】へと向かったの。

　私とアニエラは、エリカの女としての経験値の凄さに感心したの（笑）